イケメンを出しておけばどうにかなる。6月25日と26日に前後編で放送されるスペシャルドラマ「モンタージュ 三億円事件奇譚」(フジテレビ系)からは、そんな意図が透けて見えるかのようだ。テレビ誌のライターがため息交じりに語る。
「主演の福士蒼汰に加え、父親役で三億円事件の実行犯役に野村周平って、これじゃ昨夏の月9ドラマ『恋仲』と同じ組み合わせじゃないですか。思わず本田翼の名前を探してしまいましたよ。マンガ原作物なので、最近の月9みたいな酷い脚本になる恐れは低そうですが、肝心のメインキャストが演技力なしでは、今から内容が思いやられます」
福士蒼汰が演じるのは犯人の息子役で、昭和43年の三億円事件を回想するシーンも多いものの、基本的にはアクションシーンも多い現代劇だ。そんな手に汗握るサスペンスが、福士らのスイート系演技でぶち壊されるという懸念も隠せないが、前出のテレビ誌ライターはこんな期待を寄せる。
「女性キャストに演技派を揃えたのが救いですね。福士の幼馴染役でヒロインの芳根京子は、次期朝ドラのヒロインとして知名度が急上昇中。そして実行犯・野村の恋人役には映画や舞台での実績も豊富な門脇麦を充てています。つまり演技に不安のあるイケメン二人を、達者な演技の女性キャストが支えるという形です」
ほかにも香川照之や唐沢寿明といったベテラン勢に、劇団ひとりやムロツヨシといった癖のある役者を揃え、共演陣の豪華さはこのうえない。それなら主役級にも演技派を選べばいいものの、重要なところで詰めの甘さを露呈するフジテレビは、まだまだ迷走中のようだ。
(金田麻有)