何度聞いても分からない! そんな声が続出しているようだ。
1月17日放送のNHK連続テレビ小説「ブギウギ」第74回では、米兵のサム(ジャック・ケネディ)が小夜(富田望生)につたない日本語で「結婚してください」とプロポーズ。ヒロインのスズ子(趣里)が「認められるはずないやろう!」と、小夜を連れて帰る場面が描かれた。
スズ子のもとを出奔した小夜は、工場に住み込みで働きながらサムと交際。だがサムがアメリカに帰ると告げたことで、自分は捨てられたと勘違いしていた。しかしサムの本意はアメリカで実家の農場を継ぎ、小夜との結婚生活を送ることにあったというのだ。
「サムが小夜に求婚したことは、戦後の世相を鑑みれば決して荒唐無稽な話ではありません。米兵と結婚してアメリカに渡った“戦争花嫁”は1万5000人にもおよび、2021年後期の朝ドラ『カムカムエヴリバディ』で初期のヒロインだった安子(上白石萌音)も、米軍将校のロバート(村雨辰剛)と結婚してシアトルに渡っていたもの。サムと付き合い始めた小夜の姿に多くの視聴者は、アメリカに行くんだろうなと思っていたものです」(テレビ誌ライター)
そんな求婚シーンではどうやら、スズ子が小夜にかける愛情を表現したかったようだ。大阪出身のスズ子は自分が養女であることを知っており、実家の風呂屋も人の手に渡ったため帰る家もないのが実情だ。それゆえ恋人の愛助(水上恒司)に掛ける愛情は強く、付き人だった小夜にも家族同然に接していた。
愛助はスズ子と小夜が家族のようにお互いを尊重し合っていることに気が付いていた。それゆえ早稲田大学卒の英語力を活かしてサムに話しかけ、実家が農場であることや、帰国後には除隊するつもりであることなどを聞き出していた。
この場面、英語のおぼつかない小夜とスズ子だけでは、サムに対する誤解は解けそうにもない。そこで愛助の出番となったわけだが、そんな愛助の英語力に視聴者から疑問の声があがっているというのである。
「愛助はサムに『少しお時間ありますか?』と英語で問いかけていました。通常なら『Do you hava a minite?』と訊くところですが、この場面を何度聞き返しても『minite』ではなく『men(メン)』としか聞こえないのです。しかし『Do you hava a men?』では意味がまったく変わってしまいますし、会話ではminiteをminと略することもありません。果たして制作側は愛助に何と言わせたかったのか、なんとも謎なのです」(アメリカ在住経験のあるライター)
朝ドラ放送後の情報番組「あさイチ」では鈴木奈穂子アナが「愛助さんの英語もかっこよかった」と褒めており、同様に視聴者の間でも<英語が上手かった>と評する声もある。
しかし実際には前述のとおり、意味の通じない英語を口にしていたのが実情だ。話の流れからサムも「お時間ありますか?」と訊ねられたことは理解できるだろうが、だからといって天下の朝ドラで適当な英語を演者にしゃべらせるのはいかがなものだろうか。
「この場面、愛助は『Do you have a moment?』と訊ねていた可能性もあります。miniteでもmomentでも意味はほとんど一緒ですが、momentにしたほうが『ちょっといいですか?』というニュアンスが強まるのです。ただ該当場面を何度聞き返しても、愛助は明確に『a men』と発音しており、やはり演出側のミスを疑わざるを得ませんね」(前出・ライター)
サムを演じるケネディはアラバマ州出身のプロレスラーで、英語は当然ネイティブ。愛助の英語を聞いて不自然だとは思いつつ、意図は分かるので特に聞き返すこともなかったのかもしれない。
とはいえ視聴者の間から疑問の声が続出するのはいかがなものか。月曜日放送の第72回では「英語指導」のクレジットも表示されていたが、なぜこの場面がスルーされたのか。謎は尽きないようだ。