ドジャースの大谷翔平が取得したことで話題になった「父親リスト」。正式には「Paternity List(パタニティー・リスト)」といい、出産予定の48時間前から、最短で1日、最長で3日間チームを離れることができるという、2011年にメジャーリーグに導入された制度だ。その間、チームは代替選手を登録可能。大谷は、真美子さんの第1子出産に立ち会うため、4月18日(日本時間19日)にリスト入りしている。
日本のプロ野球では馴染みのない制度だが…。
現役時代に3度の三冠王を獲得し、監督として中日を日本一に導いた落合博満氏は、自身のYouTubeチャンネル「【公式】落合博満氏のオレ流チャンネル」で、この「父親リスト」に言及。日本のプロ野球には産休制度などはなく、落合氏の長男・福嗣さんが産まれた日は横浜球場で試合をしていたそうで、試合後に親しい記者とフカヒレラーメンで乾杯したそうだ。
その上で「父親リスト」について、こう所見を述べた。
「制度があるんだったら取れるだろうけども、制度がなければ取れないっていうだけであってね。決めるのはあくまで大もとであって、アメリカは3日間っていうんであれば、3日間陣痛で苦しんで、4日目、5日目に生まれたらどうすんだっていうようなことも起きてくるだろうけどね」
だが、この懸念はアメリカでは小さいようだ。なぜなら、アメリカと日本では、出産事情が違うから。日本産婦人科学会が発表した2023年の日本の無痛分娩の割合11.66%に対し、アメリカでは7割以上が無痛分娩を選択している。アメリカでは陣痛促進剤で陣痛を促して出産する「計画無痛分娩」が普及しているのだ。
ところで、日本プロ野球選手会も、子供の誕生時にチームを離れても短期間で再登録できる「父親リスト制度」の創設を日本野球機構(NPB)に要望しているようだ。このように、選手の家族のケアの面でも大リーグに後れを取っているわけで、優秀な日本人選手がメジャーに流出するのもうなずける。
(所ひで/YouTubeライター)