ジャニー喜多川氏、「KinKi Kidsデビュー」で山下達郎と“戦”を繰り広げた驚きの過去

 KinKi Kids(堂本剛、堂本光一)ほどジャニー喜多川氏に愛されたジャニーズアーティストはいないのではないか。

 2人はともに関西出身で、同じ苗字。中学生の時にジャニー氏に発掘されてから、SMAPの関西ローカルバラエティ番組「キスした?SMAP」(朝日放送)にアシスタントで起用された。以降、SMAPのコンサートでコーナーが設けられるという、ジャニー氏ならではの“荒療治”でステージ根性を叩き込まれた。

 何本ものドラマで主演を務めたあと、97年にシングル「硝子の少年」でデビュー。東京・赤坂の豊川稲荷でデビュー発表記者会見が盛大に開かれ、都内5カ所の大型ビジョンで生中継。新レーベル会社「ジャニーズ・エンタテイメント」(現ジャニーズ・エンタテイメント・レコード)が設立され、デビュー曲は「ミリオン突破」を最低条件に、作曲は山下達郎、作詞は松本隆にオーダー。3000万円の総PR費用が投入された。

「ジャニーさんは本来、かわいい子はデビューさせたくないぐらいの人なんです。KinKiに対してもそう。さかのぼれば、少年隊もそうでした。それほど、いつまでも自分の手元に置いておきたいという強い思い入れとの葛藤があるわけです。それを踏まえての楽曲制作となれば、スタッフさんたちには常に高いハードルが与えられるため、さながら戦(いくさ)だったそうですよ」(芸能ライター)

 山下がこの“戦”を経験したのは、KinKi Kidsのデビュー曲をどれにするか決めた時だった。

 山下とKinKiは後に剛主演のドラマ「金田一少年の事件簿 第2シーズン」(日本テレビ系)のタイアップソングとなった「Kissからはじまるミステリー」を推した。ところが、ジャニー氏は「イヤだ。それじゃデビューさせたくない」と譲らない。3枚目のシングルで、後にミリオンヒットとなった「ジェットコースター・ロマンス」も、「これではミリオンにいかない」と却下した。結局デビュー曲に選ばれた「硝子の少年」も、当初は首をタテには振らなかったという。

「ジャニーさんが口にしたプランは、シングルとアルバムの同時発売。『それじゃなきゃ嫌だ!』とまで言い始めました。これによってアルバムとシングルを同一パッケージ仕様にすることで落ち着きました」(前出・芸能ライター)

 シングル「硝子の少年」とアルバム「A album」は、初回プレス分のみセット商品。プレス数100万枚が完売している。さらに、「硝子の少年」はKinKi史上最高となる累計発売180万枚を突破している。

 こうして、ジャニー氏対山下の攻防戦は、ジャニー氏に軍配が上がったのだった。

(北村ともこ)

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