お笑いタレントの明石家さんまが5月22日放送のラジオ番組「ヤングタウン土曜日」(MBS)に出演し、77歳でこの世を去った俳優の田村正和さんとのピリついた共演エピソードを振り返った。
4月3日に亡くなっていたことが伝えられた田村さんとは、1996年放送のフジテレビ系ドラマ「古畑任三郎」の「しゃべりすぎた男」の回で共演しているさんま。その際、撮影現場で「とんでもないミス」をしてしまったと反省した。
ある時、田村さんがセリフを噛んでしまい、さんまは嬉しそうに「噛んだね!」と田村さんにツッコミ。田村さんからは笑顔のリアクションがあったことから、さんまはさらに、「今、噛みましたね、田村さん。良かったー。みなさーん! スタッフの皆さん、田村正和、噛みましたよ!」と吹聴すると、現場の空気が一気に凍り付いたという。
その後、さんまはアシスタントディレクターに呼び出され、「すいません、さんまさん。田村さんは、この古畑(任三郎の撮影)では一度もそういうことがないので、一切『うわ、噛んだ』とか『田村さん、(ミスしたのが)先でっせ』とか言うのはやめていただけないですか」と注意を受けるハメに。「いやいや、田村さんも笑うてましたやん」と反論するさんまに対し、ADは引き続き「いやいや、あの、本当に初めてのことなんで」と食い下がってきたと振り返った。
「田村さんとさんまの共演時は、当時の撮影後のインタビューにおいても、そのピリついたムードが伝わり、NGを多発するさんまに対し、田村さんが『今度間違えたら、僕は帰りますよ』と言い放ったことでも知られています。また、当時から田村さんはドラマや映画の撮影で一切NGを出さないとの伝説がありましたから、さんまからすると、田村さんが噛んだ貴重な瞬間を目撃し、上手く懐に入り込もうとしたのでしょう。
2017年11月放送の『誰も知らない明石家さんま NGなしロングインタビュー』(日本テレビ系)でも、さんまは田村さんとの撮影秘話を回想。『噛みましたね!』のツッコミ後、田村さんが楽屋に帰ってしまい、共演者の西村雅彦からも『あれは言っちゃダメ! さんまちゃん、これから気をつけて』と説教されてしまったといいます。役者として、また、田村正和としてのイメージを大切にし続けてきた名優ですから、バラエティ番組のようなノリで初のNGをイジられたのは、田村さんにとって決して愉快なものではなかったのでしょう」(テレビ誌ライター)
一方で、さんまは田村さんから受けた温かい配慮についても振り返った。道に迷い、撮影現場への到着が1時間以上も遅れてしまったさんまに対し、田村さんは激怒するかと思いきや、「待っている間、カレーを食べられたよ」と迎え、「ありがとう」と感謝されたという。
さんまは当時の田村さんについて「オーラは凄いのに、入っていける優しさを持っていただいて。何度救われたか」と表現。大物俳優との貴重な共演を懐かしんでいたのだった。
(木村慎吾)