星の数ほど美容クリニックが存在する今、美容整形は技術も進歩し、エステの施術と大差なしと言われるほどカジュアルなものになっている。が、それだけにネットには正誤の判断がつきにくい微妙な情報が氾濫。まだ顔の骨が確立していないのに、泣き叫ぶ子供に整形手術をさせた母親のブログが炎上、なんてことも起きている。そこで今こそ慎重さが求められる「美容整形のリアル」を不定期連載で紹介。プチ整形の体験記を日本で初めて記事化した美容オタクの女性ライターMと、美容クリニック業界のプロモーター30年のX氏が毎回わかりやすく解説していく。
M:25年くらい前かな? 私が初めてプチ整形の体験記を書いた時は、まだ日本では“整形”というワードに白い目を向ける時代だったよね。体験系の記事を書く、と友人に話したら、「本当にやるの?」みたいな。その最初の取材でプロモーターとして現れたのがXさん、あなたです!取材ルームにカルテを持って現れた姿は、王子様でしたよ(笑)。というのはさておき、あの頃に比べると、なんとまあ、美容業界は進化したこと。今ではファッション誌の美容企画でもヒアルロン酸を注入したり、ボトックスを打ったり。美容の糸やリフトアップのマシンなんて当たり前。そのぶん、誰でも安易にできるから“これは間違ってるのに”という残念なものも見受けられる気が…。
X:そうなんです。進化してるがゆえに、やりすぎちゃって失敗した人もいるし、むしろやりすぎが好きという熱狂的な整形ファンも増えました。また、実際には、高いお金を出しているのに、“安物買いの銭失い?”な感じになっちゃっている人も。基本的には器械や素材が進化しているから、そこそこ満足はできるのかもしれませんが、意外に気づかない落とし穴があります。
M:かつての平子理沙さんは、話題になりましたね。メイクを変えたという説もありましたが、唇がぽってりしすぎて違和感があったので、“何かやってない!?”と。
X:ぽってり唇が流行ったので、当時はヒアルロン酸を唇に入れる時代。でも、あの頃のヒアルロン酸は、唇にもほうれい線にも目の下にも、部位ごとにヒアルロン酸の種類を変えるということがなかったから、難しい施術だったんです。
M:私は唇にヒアルロン酸を入れる企画もやったけど、あの頃はめっちゃくちゃ痛くって!入れすぎるとオバケみたいになっちゃうよ、って先生に言われてほんの少ししか入れなかった(苦笑)。
X:そんな助言、してくれる先生は今でも少ないよ。みんな商売だから患者さんが入れたいといったら、とめどなく入れちゃう先生もいます。そうそう、ほうれい線とかおでこのシワにも入れるヒアルロン酸、これも入れすぎ注意。某美容クリニックの女医さんなんかあきらかにそれで、顔がまん丸ですよ。
M:最近のマドンナがヒアルロン酸を入れすぎていて、顔が変わっちゃったことも話題だよね。彼女は、自分でも美容整形をしていることを公表していて、“これが私なんだ”と堂々としてるのは潔い。でも、昔のほうがきれいだったな。
X:安かろう悪かろうじゃダメだし、高いけどその値打ちあり、という技術もあるってことをもっと知るべき。
M:某女優さんに教えてあげたいですね。
X:そんな美容の真実をこれからもっと探っていきましょう。