今年も予選から盛り上がりを見せ、漫才頂上決戦となる「M-1グランプリ2023」(テレビ朝日系)。12月24日の決勝戦は、敗者復活戦なども含め放送時間は7時間と破格の長さだ。今年は過去最多8540組の漫才師がエントリー。予選から有名コンビが脱落するなど、熱い戦いが繰り広げられている。
「お笑い業界では、M-1で優勝できれば一生安泰とまで言われている。テレビの仕事がなくても営業が尽きないですし、これまでの優勝コンビもすべて順調に売れている。昨年優勝したウエストランドも、ボケ担当の河本太に全く仕事がないとネタにされていますが、それでもギャラが跳ね上がったことで、営業やイベントだけでもサラリーマンと比べても段違いに稼いでいる。まさに、夢を叶えることができる大会として、全お笑い芸人が優勝を目指しています」(民放関係者)
現在テレビ各局では、テレ朝の「M-1」を始め、お笑い賞レースとして「キングオブコント(KOC)」(TBS系)、「R-1グランプリ」(フジテレビ系)、「女芸人No.1決定戦 THE W」(日本テレビ系)が放送されている。ただ、これら賞レースを巡っては、年々、格差が拡大していると民放キー局でバラエティ番組を担当するディレクターがこう話す。
「テレビ業界での肌感覚としては、『M-1』が最高峰ならば、だいぶ離れて『KOC』がある感じ。さらに離されて『R-1』で、ほとんどキャスティングにも影響がないのが『THE W』というのが定説です。テレビ関係者の間でも『R-1』と『THE W』はちゃんと見ていないという声も多く、何のための賞レースなのかよくわからない現状ですね」
実際、直近の各賞レースの優勝コンビやピン芸人をみても、ウエストランド以外に優勝は誰だったのか、パッと出てくるだろうか? 今年の「KOC」王者のサルゴリラは中年の星としてバラエティで見かけるものの、今年の「R-1」覇者の田津原理音は全国放送ではたまに見るレベル。田津原は、今年10月に「ルミネtheよしもと」で初の単独ライブを開催したことが話題になるくらいお寒いレベルだ。「THE W」に関しては、2022年王者が、天才ピアニストだったことを覚えている人は何人いるだろうか?
「『R-1』『THE W』に関しては視聴率も悪く注目度はどんどん薄れています。特に『THE W』は、目立った賞レースがなかった日テレが強引に立ち上げ、当初からテレビ業界では冷めた目で見られていた。お笑い番組プロデューサーの間では、『THE W』で優勝しても、せいぜい『M-1』の準決勝進出くらいの影響力しか無いと言われている。正直言えば、今年スタートした『THE SECOND』のほうが、よほどテレビ業界で注目されています」(前出・民放関係者)
今年は決勝が、「M-1」と同じ12月に放送される「女芸人No.1決定戦 THE W 2023」。予選が全く盛り上がっていない中で、どの芸人が優勝するのか世間の注目度は低い。ぜひとも、小さいエリアでの勝負に拘泥せず、男芸人たちを蹴り落として「M-1」で優勝する女性コンビの姿を見たいところだ。
(渡邊伸明)