4月9日は子宮(子4宮9)の日。
ここ数十年で急速に増えている子宮体がん。実は子宮体がんは、がんの中でも初期症状で発見しやすいがんであるため、知識をつけておくことが重要です。
今回は、子宮体がんについて、「~ゼロからわかるがん医療~ゼロがんチャンネル」でおなじみの人気YouTuber医師の「銀座みやこクリニック」の濱元誠栄院長にわかりやすく教えていただきました。
●子宮体がんの原因はホルモンバランスが関わる
子宮体がんは子宮内部(内膜部)に起こるがんで、子宮内膜がんとも呼ばれます。
子宮内膜とは受精卵を受け止めるベッドで、月に1回剥がれ落ち、生理となって外に出てきます。子宮内膜の厚みや剥がれるタイミングはエストロゲン(排卵に向けてベッドをふかふかにする役割)とプロゲステロン(着床しやすいようベッドを整える役割)により決まります。
この過程で子宮内膜の厚みが増えすぎると子宮内膜増殖症という状態になり、子宮体がんのうち80%(残りの20%はほとんど原因が解明されていない)はこの症状を経由して発症するため、子宮内膜増殖症が子宮体がんの前がん病変となります。閉経前の生理がある方は通常月に1回子宮内膜が剥がれ落ちるため厚みが増えすぎることはないのですが、ストレスなどでホルモンバランスが乱れるとエストロゲン過多になり、20代でも子宮内膜増殖症になることがあります。
そして閉経後は女性ホルモンが出なくなるから関係なくなるかと思いきや、いままで卵巣から出ていたエストロゲンを補うために脂肪からエストロゲンがでるようになり、脂肪が多い方は子宮内膜増殖症になるリスクが上がります。
●当てはまる人は気を付けたい8つのリスク
1:閉経が遅い人
=エストロゲンにさらされる期間が長くなります。
2:妊娠・出産経験がない人&少ない人
=妊娠出産で一時的にエストロゲン量は減るため、妊娠・出産経験がない人や少ない人はエストロゲンにさらされる期間が増えます。
3:子宮内膜増殖症の人
=エストロゲン過多のため、リスクが上がります。
4:太っている人
=閉経後は脂肪からエストロゲンが作られるので、脂肪が多い人の方が閉経後エストロゲン過多のリスクが上がります。(日本人だとBMI<肥満指数>27以上が目安)
5:家族にリンチ症候群がいる人
=遺伝的に大腸がんや子宮体がんになりやすくなる疾患のため、注意が必要です。
6:乳がんのホルモン療法を行っている人
=乳がんのホルモン剤(タモキシフェン)には子宮内膜を増殖させる作用があります。
7:無排卵性月経
=ストレスや過度なダイエットが原因で排卵していないのに月経が起こることがあります。排卵がないと子宮内膜を厚くしようとエストロゲンが分泌され続け、エストロゲン過多になります。内膜の厚みに耐えられず剥がれ落ちるので一見普通の生理のように見えますが基礎体温に変化がないので注意が必要です。
8:糖尿病の人
=食生活による肥満が原因なのか、糖尿病そのものが原因となっているのかはまだ解明されていません。
●子宮体がんは初期症状がわかりやすい
子宮体がんは8つのリスクに加え、①不正出血、②おりものの異常(色やニオイ)が初期から出るため、他のがんと比べて初期症状に気が付きやすく、ステージ1で治療できる疾患です。リスクや初期症状をしっかり頭に入れて、不安があれば健診を受けるようにしましょう。
(安藤恵美)