欧州で5本の指に入る爆速を誇る日本代表FW前田大然。その豊富な運動量とスピードを生かした献身性について“世界で右に出る者はいない”と絶賛したのは、所属するセルティックを率いるブレンダン・ロジャース監督である。
前田のほか、FW古橋亨梧とMF旗手怜央が在籍するセルティックはさる9月18日(現地時間)、欧州チャンピオンズリーグ・リーグフェーズ第1節で対戦したSKスロヴァンをホームで5-1と粉砕した。
後半70分には旗手のパスを受けた前田がGKとの1対1を冷静に流し込み、同大会での初ゴールを記録しているが、試合後にロジャース監督が絶賛したのはこの得点場面ではなく、スタミナが切れかけていた後半85分に見せた前田の驚異的なスプリントである。
前田は左ウインガーとして出場しながら、この場面では、ほぼ左サイドバックの位置にまで下がり、相手チームの右サイドバックがボールを受けた瞬間に加速してボールを奪取。それがカウンターの起点となるなど、試合終了のホイッスルが鳴るまで全力のパフォーマンスを見せつけていた。
ロジャース監督はそんな前田の突出した運動量と守備への貢献について「チームの守備はFWからスタートするものだ。そういった意味では、世界中のサッカー界で前田大然を超える選手は存在しないだろう」と脱帽のコメント。
FWとしてゴールを決めながら、守備面でも高いクオリティーを示した85分のプレーに関して「ほとんどの選手がやれと言われてもできない。それはプレイへの意欲と執念からくるもので、あの瞬間、前田はプレッシングを弱めることだってできたはずだが、彼はそうしなかった。本来ならその場所にいるべき他の選手よりも彼は先にそこに着いていた。それは驚異的で、全く信じられないプレッシングだが、それが前田のメンタリティだよ」と絶賛している。
「前田といえば日本代表でもお馴染みの貪欲なボールチェイスが最大の武器として語られることが多いですが、それを後押ししているのは圧巻の加速能力にあります。スコットランドメディア『Football Scotland』によれば、昨季のチャンピオンズリーグ出場全選手のスピードランキングで、時速35.6kmを記録した前田は4位にランクイン。これは5位に選ばれたバイエルン・ミュンヘンDFアルフォンソ・デイビスや、9位の現レアル・マドリードFWキリアン・エムバペら世界的スピードスターを上回る数字で、ロジャース監督が“世界最高のスプリント”だと舌を巻くのも納得のデータです。ただ速いだけでなく、それを攻撃と守備の両面で90分間にわたって出し続けるというのは、なかなかヨーロッパでも類を見ない仕事ぶりだといえますね」(スポーツライター)
この走力に加え、ゴールまでも量産し始めれば、いよいよワールドクラスのウインガーとして世界からも認知されることになりそうだ。
(木村慎吾)