2026年下半期に放送されるNHK朝ドラ「ブラッサム」で主役の葉野珠(はの・たま)を演じる石橋静河にネット上で懸念の声があがっている。
「ブラッサム」は大正、昭和、平成を生きた小説家および随筆家として広く知られる宇野千代さんがモデルのストーリーだ。宇野さんは小説「人生劇場」が代表作の尾崎士郎、短篇小説「檸檬」が代表作の梶井基次郎、画家の東郷青児、北原武夫など、多くの著名人との恋愛や結婚遍歴を持つ、「恋多き女性」として知られている。宇野さんの代表作の1つである「色ざんげ」は、前出の画家・東郷の愛人の1人であった自身と東郷をモチーフに綴った作品だ。
宇野さんの生涯を「朝ドラ」で描けるのかと議論する声は以前からあがっていたが、その宇野さんをモデルにした「珠」という主人公を石橋が演じると発表されてからは、「なぜ恋多き女性ばかりを石橋は演じるのか」「石橋に恋多き女性のイメージがない」といった声が、ネット上でかなり目立ってきている。
石橋は1991年に鈴木保奈美と織田裕二が「リカとカンチ」を演じて大ヒットとなったドラマ「東京ラブストーリー」(フジテレビ系)の2020年版(FODおよびAmazon Prime Videoで配信され、翌21年にはフジ系で放送)でリカを石橋、カンチを伊藤健太郎と演じ、その時も「恋多きリカになぜ石橋が抜擢されたのかわからない」「石橋に恋多き女のイメージがない」と指摘する声があがっていたから、「またしても…」と感じる人がいることは容易に想像できる。
石橋はスタート前からかなり重く大きな十字架を背負わされてしまった感があるが、昨年4月期放送の「燕は戻ってこない」(NHK)では、高額の謝礼と引き換えに「代理母」の依頼を受ける派遣社員のリキを、実にたくましく演じてくれたことで称賛されていた。
「ブラッサム」の「珠」が「恋多き女」というより、生きることに貪欲で、生きるために必要だから恋をする女であれば、石橋に似合いそうな気がする。
いずれにせよ、石橋には懸念の声など吹き飛ばす素晴らしい演技を見せてもらいたい。
(森山いま)