アイドルになるには、事務所に履歴書を送付した後、オーディションを受けるのがオーソドックスなルート。稀に、友人のオーディションについていったら自分が受かった、スカウトされたといったのもある。ジャニーズ事務所にはそれらとは違う「特待生」という扱いがかつてあったという。
「松本潤がそうです。ドラマ『99.9─刑事専門弁護士─ SEASONII』(TBS系)の主役を務めたマツジュンですが、入所時から積極的。小学校の卒業式を終えると、お姉ちゃんと一緒に履歴書を書いて郵送。同封した写真に写った彼は、丸い目にプックリ頬。よっぽどかわいかったのか、後日、ジャニー喜多川社長がみずから『いま六本木のテレ朝でレッスンやってるから、YOUも来ちゃいなヨ!』と電話して呼び出したんです。その日はあいにく、野球の練習があった。でも『こんなチャンスはない』と家族会議をおこなった末、東京・六本木にあるテレビ朝日の第1リハーサル室へ行ったんです」(アイドル誌記者)
リハ室には掃除をしているおじいさんがいた。それが、ジャニーさん。彫りの深いマツジュンはひときわ異彩を放っており、ジャニーズJr.入りが即決。当時は特待生扱いとして注目された。
「お姉さんが大のKinKi Kidsファンだったというのが、マツジュンの運命を変えたといえます。今では嵐のなかでドSキャラですが、デビュー時はイジられキャラ。しかも、泣き虫。飛行機に乗って、気圧の関係で虫歯が痛んだときは、ワンワン泣いたといいます。また、同じJr.仲間の二宮和也が振り付けの先生に怒られているのを横で聞いてるだけなのに、泣いたこともあったとか。中学生だったのでしょうがないんですが」(前出・アイドル誌記者)
滝沢秀明のステージ演出に魅了され、努力を重ねて今では嵐ライブの演出家としても活動している。連ドラ主演俳優としても今期ドラマ最高視聴率を叩き出してみせた。元泣き虫Jr.は22年の歳月を経てジャニーズでも指折りのエンターテーナーに成長した。
(北村ともこ)