元SKE48矢方美紀の乳がん公表を、がん患者が好意的に受け止めたワケ

 4月13日に25歳の若さで乳がんを患ったことを公表した元SKE48の矢方美紀。4月17日放送の「ノンストップ!」(フジテレビ)ではVTR出演にて、乳がんと診断された時や手術後の印象について自ら口を開いた。矢方はリンパ節にも転移があるステージIIBと診断され、治療に際しては乳房の一部を残す温存療法ではなく全摘を選択。将来的な転移への不安や、年齢的に遺伝体質の可能性もあることから、再発の可能性がより少ない全摘を選んだという。

 そのため手術後には「初めてお風呂に入ったときに、聞いたとおりに自分の体が鏡に映っていたので、それはやっぱりすごくショックだった」と告白。ただその語り口は淡々としており、自らの病状を客観的に見る余裕も生まれているようだった。VTRでは、リンパ節切除の影響で左腕はほとんど動かしていなかったが、それも彼女の手術を知らなければ気づくこともかったことだろう。

 そんな矢方の病状告白について、乳がん患者との交流が多い医療系ライターは、その姿勢に感心したと語る。

「芸能人ががんになると『自分は平気だ』と過剰にアピールしたり、『他の女性の参考に』と力んだ姿勢を見せることも多いのですが、当のがん患者にしてみれば『普段と変わらない姿』を見せてくれることが何より励みになります。その点で矢方さんが普段着姿で出演し、力みのない自然体だったことに元気づけられた患者さんも多かったのではないでしょうか。35歳未満で罹患する“若年性乳がん”は乳がん患者全体の2.7%で、矢方さんも口にしていたように『なんで私なんだろう』という思いを抱きがち。その辛い気持ちを彼女が代弁してくれたことで、同じ若年性乳がんの患者さんも『私だけじゃないんだ』と思えたかもしれません」

 その矢方は親元を離れて名古屋で一人暮らしをしているため、検診や診断は一人で受けたという。そして乳がんという診断結果も一人で受け止めることになった。

「彼女は診断結果を知ったとき、親御さんに対して深刻そうに伝えると心配をかけると思い、『乳がんだってよー』みたいな感じで明るく振る舞っていたそうです。自分自身では『受け止められなかったことはありました』と語るほどにショックを受けていたはずなのに、その状態で周囲を気遣うという精神力の強さには驚くほかありません。その強さゆえに今回のVTR出演でも一切落胆した様子を見せず、変に強がることもなく、自分の状態を客観的に把握している様子が印象的でした」(前出・医療系ライター)

 VTRの最後で矢方は「今をちゃんと楽しく生きていかないといけないんだなと思いました」とコメント。4月2日の手術からわずか2週間あまりでラジオ収録の仕事にも復帰していた。そんな矢方の姿に勇気づけられている患者は少なくないのではないだろうか。

(白根麻子)

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