テレビへの対抗メディアとして台頭した大手動画共有プラットフォーム「YouTube」の猛威が全世界に広がりを見せつつある中、日本の著名人もまた、この巨大な市場において主導権を握ろうと躍起になっている。
2019年、YouTubeの世界で確固たるクオリティーを確立し、日々“再生数”と戦い続ける優秀な「芸能人ユーチューバー」を紹介。“好きなことで生きていく”とのスローガンは令和において、芸能人の間でもスタンダードとなるのかもしれない。
筆頭として紹介すべきは、今年4月に新方針の下、YouTubeへの本格的な動画投稿を開始して以降、圧倒的な登録者の伸びと再生数をキープしたお笑いコンビ・オリエンタルラジオの中田敦彦による「中田敦彦のYouTube大学」で、そのチャンネル登録者は100万人超(現在は非公開)とわずか数カ月でトップユーチューバーの仲間入りを果たした。
その内容はさながら大学の教授といった空気感と熱量、博学さが全面に押し出されており、歴史学や文化史、さらには世界の偉人などを複数の動画に分けて詳細に解説するといった“授業スタイル”で、慶應大学出身の中田のインテリが存分に生かされたチャンネルとなっている。
「ひたすら中田が喋り続けるという話芸に自信が無ければ挑戦できない構成になっていますが、これは彼がテレビ東京で放送された『やりすぎ都市伝説』に都市伝説テラーとして登場した際に披露した完璧な長尺のトークが基になっています。同コーナーでの力説ぶりや説得力で絶賛を集めた中田はこのメソッドで様々な雑学を語り尽くすスタイルを確立し、動画の色に一貫性を持たせたことで凄まじいペースでチャンネルを成長させることに成功しました。中田の功績としては、それまでの一般的なユーチューバーが行っていた話題性を狙う“悪ふざけ”動画などのイメージを一新し、視聴することで知識を深められるという率先して“子供に見せたくなるような”動画を定着させたことでしょう」(テレビ誌ライター)
武勇伝、パーフェクトヒューマン、そしてYouTube大学。これだけヒットを重ねられる芸能人も稀である。
(木村慎吾)