内館牧子さんの継承者として、松下由樹を立派な脚本家に指導してもらいたかったワケ
脚本家や作家としてだけでなく、大相撲の横綱審議委員も2000年から10年間務めたことも広く知られている内館牧子さんが12月26日、急性左心不全で死去。77歳だった。
内館さんといえば、ドロドロした人間関係を描く巧みな手腕がすぐに思い出されることだろう。その手腕が最初に注目された作品が、1990年放送の今井美樹と石田純一がW主演したドラマ「想い出にかわるまで」(TBS系)だ。
エリートサラリーマンの高原直也(石田)と社内結婚する予定だった沢村るり子(今井)だったが、カメラマンの水口浩二(財津和夫)と知り合い心が揺れたため結婚を延期。一方で直也に思いを寄せていたるり子の実妹・久美子(松下由樹)は、結婚延期で消沈する直也にある晩、「私を傷つけて!」と関係を迫り略奪婚。直也は久美子と結婚したものの、るり子と会ったり電話したりと接触を持ち、るり子もまた直也への想いを残し、2人の関係はズルズルと長引くが、最終的には決別。1年後に偶然にも再会し、やっとるり子と直也はお互いの気持ちが「想い出」になったことを知るという「THEドロドロ」なストーリーだった。
姉の婚約者と略奪婚し、多くの視聴者から反感を買った強烈なキャラを演じた松下は、今作で女優として大ブレイク。実は今作の前年に放送された松下の初主演ドラマ「オイシーのが好き!」(TBS系)も内館さんの脚本だった。
1990年放送「クリスマス・イヴ」(TBS系)、1999年放送「週末婚」(TBS系)でも内館さんが脚本のドラマで松下はインパクトのあるキャラを演じたが、個人的には2023年5月16日と23日に放送された「関ジャニ∞のあとはご自由に」(フジテレビ系)で、松下が主演、脚本、監督した番組内ドラマ「捜シ者」が素晴らしすぎたので、松下には内館さんの指導のもと、ドロドロした人間関係を得意とする「脚本も書ける女優」になってほしいと密かに願っていたのだ。この時に松下が描いた脚本の素晴らしさには、私だけでなく関ジャニたちも驚いていた。
もしかするとすでに、松下は独学で脚本を書きあげ、発表の場を待っている段階かもしれない。もしくは趣味として脚本を書いて満足しているかもしれない。どちらにせよ、内館さんには空の上から、「脚本家としての松下」を激励し、見守っていてほしい。
(森山いま)
