6月26日、夏ドラマのトップを切ってスタートしたのが綾野剛の主演作「オールドルーキー」(TBS系)だ。拡大版で放送された初回の平均世帯視聴率は、11.2%(ビデオリサーチ調べ、関東地区。以下同)だった。ツイッター世界トレンド1位になるほど注目を浴びたことから15%を超えるかとの声も飛び交ったが、肩すかしの数字に終わった。
「高視聴率間違いなしの前評判だったのに、意外に数字が伸びませんでした。脚本も役者もよかったんですがね。綾野演じる現役引退を余儀なくされたサッカー選手がセカンドキャリアのため孤軍奮闘する熱血話は、人気脚本家・福田靖氏のオリジナル。そして芳根京子、中川大志、榮倉奈々、反町隆史ら豪華俳優陣が脇を固める。日本サッカー界の現役アスリートやレジェンドのほか、多彩なゲストをダメ押しでセッティングする用意周到さでした。
アンミカやお笑いコンビ、エルフの荒川に大魔神こと佐々木主浩まで引っ張り出すなど、なりふり構わぬ作戦。さわやかイケメン俳優、横浜流星のゲスト出演を前面に押し出して一大PRをかけていたら、もっと食いつきがよかったかもしれません」(テレビ誌記者)
そもそも同ドラマは4月期民放連続ドラマでぶっちぎりの強さを見せ、平均世帯視聴率 16.4%でラストを飾った日曜劇場「マイファミリー」の後番組。数字が悪かろうはずがない。ましてや「夏ドラマ期待度ランキング」アンケートを実施した複数のサイトで、いずれもベスト3にランクインするほど注目されていた。
そんなこんなで高視聴率獲得が完璧にお膳立てされていたにもかかわらず、爆上がりといかなかった。
「暴露系YouTuberガーシーこと東谷義和氏からの執拗なネット攻撃で、綾野のイメージは地に落ちました。プライベートの姿を長年見聞きしてきた東谷氏が恨み骨髄で繰り出す爆弾発言の数々は強烈なもの。これまで噂レベルだった酒癖や女癖の悪さが白日のもとにさらされました。それでも素行の悪さだけでは降板させることもできず、おとがめなし。放送後、伸び悩んだ視聴率を見て、初めてダメージの大きさに気づかされたのではないでしょうか」(芸能ライター)
初回は元日本代表まで上り詰めたサッカー選手が、いきなり現役を引退する羽目になり、畑違いの仕事を次々クビになって、たどりついた先が、妻にも内緒の交通誘導員。落ち目の三度笠を痛感し、スポーツマネジメント会社社長に涙ながらに直訴、土下座してまで仕事を渇望する泥臭いシーンが展開された。その迫力に、綾野を見直した視聴者も少なくなかったようで、ネットでは応援メッセージが飛び交った。
「よくも悪くも世間の耳目を集めることには成功しました。次はしっかり視聴率に結びつけていかないと、綾野を起用した意味がありません。しかし、綾野は好感度が高いわけでも、出る作品すべてがヒットするような高視聴率俳優でもありません。 昨年4月期の連続ドラマ『恋はDeepに』(日本テレビ系)も、同年10月期の連続ドラマ『アバランチ』(フジテレビ系)も、平均世帯視聴率は8%台。。いくら夏場の連ドラは低調な数字が相場といっても、日曜劇場はTBSドラマの金看板。綾野のプレッシャーは半端じゃないでしょう」(前出・芸能ライター)
日曜劇場で主に描かれてきたのは、逆境をはねのけ快進撃するエネルギッシュでポジティブな主人公だ。綾野は衆院の雑音を封じ込めるほどの名演技で視聴者のハートをわしづかみにし、高視聴率でフィナーレを飾ることはできるのか。
(塩勢知央)