不正問題に揺れる中古車販売大手のビッグモーターを巡り、関西を中心に「失われた流行り言葉」を思い出す人たちがいるという。
1976年に創業し、1980年に現社名となったビッグモーターは、同業他社を買収していくことで業容を拡大。最近では全国に300店舗超を展開し、売上高7000億円をうたう中古車販売業界のトップ企業へと成長している。
その拡大戦略でとくに大きなインパクトとなったのは、「ハナテン中古車センター」こと株式会社ハナテンを傘下に収めたことだろう。
大阪を拠点とするハナテンは関西地区で高い知名度を誇り、独特のテレビCMは今でも語り草となっている。おもむろに美女が登場し、「あなた…誰?」というセリフに続いて「ハナテン中古車センター♪」というジングルが流れるCMは、その独特なメロディが関西人の脳裏に深く刻まれていたものだ。
ハナテンは2005年にビッグモーターと資本提携を行い、2013年以降は店舗名もビッグモーターに転換。2016年までには全店舗がビッグモーターとなり、旧本社ビルはビッグモーター深江橋店となっている。それに伴いハナテンのテレビCMも終了していた。
「私が中学生くらいの時には、友だちのボロい自転車を見ては『どこで買ったんや、ハナテンやろ!』とからかうのが定番。『ハナテン中チャリセンター♪』と替え歌を歌っていたものです。関西の子供なら誰でも知っていたあの歌を、今の子供たちが知らないというのは、ちょっとショックですね」(40代の関西出身カメラマン)
業務の拡大に伴って、子供たちの流行り言葉を消滅させていたビッグモーター。今回の不正問題を巡っては、店舗前の街路樹を除草剤を使って消滅させていた疑惑も持ち上がっている。ともあれ、テレビで流れまくっていた「クルマを買うならビッグモーター♪」というジングルも、いずれは懐メロと化してしまうのかもしれない。