コミケの奇跡として語り継がれることになる譚なのかもしれない。
8月12~13日に開催された「コミックマーケット102」(コミケ)にて、心温まる話が広がっている。コミケに参加したクリエイターの姉太郎さん(@ANETAROU)が、自身のX(ツイッター)で報告したもの。
姉太郎さんはコミケにサークル参加したあと、駐車場まで移動する途中で台車に載せていたハンドバッグを紛失。当日の売上金が入っており、顔面蒼白になったという。
周辺をいくら探しても見つからなかったものの、警察に電話したところ、拾得物として届けられていたことが判明。中にマイナンバーカードが入っていたことから本人確認も容易だったようだ。
しかも売上金やお釣りなどの現金はすべてそのままだったそうで、姉太郎さんは「この言葉、抵抗があってこれまで使ったことなかったんですが、今は声を大にして言いたいです。『日本、そしてコミケに参加する人たち、すごすぎないですか???最高!!!』」と、その喜びを表現していた。
東京湾岸署に引き取りに行ったところ、入っていたお金はそのままで、拾得者は自身の権利をすべて辞退していたという。聞くだけで心温まる話に、姉太郎さんと同様に「日本最高、コミケ最高!」と感じた人も少なくないことだろう。
一方で一連のツイートでは、警察で落とし物を受け取る際の手続きについても触れられており、そちらに興味を惹かれた人も少なくないようだ。
警察にて姉太郎さんは、きれいに仕分けされたお札と小銭を目撃。現地で一緒に一枚ずつ確認したとの経験談を綴っている。よもやコミケで多額の売上があったからこそ、こういった手続きが発生したのだろうか。実際に財布を遺失した経験を持つライターが、当時の思い出を交えて説明する。
「自分の時も同じでした。財布に入っていた現金はすべて別に分けられており、透明な小袋に入れて保管。券種や硬貨別の内訳も記載されていました。財布に入っていたカード類も分けられており、持参した運転免許証とクレジットカードの名義を見比べて、本人の所有物かどうかを同定していたようです」
同ライターの場合は一目で分かる程度の金額だったものの、金額の確認は求められたという。コミケの売上のように大量の千円札と小銭が入っていたら、その確認作業は相当大変だったであろうことは想像に難くない。
また本人の遺失物であることが間違いなさそうな場合であっても、遺失物が届いているかどうかをすぐに教えてもらえるかどうかはケースバイケースのようだ。
「私は財布を落としたと思われる場所の交番に行き、遺失物届を記入。住所や氏名などをすべて記入し、さらに運転免許証を提示して本人確認が済んだ時点で初めて、『届いてますよ』と教えてもらいました。最初の時点で財布の特徴や色、内容物などを口頭で警察官に説明していたものの、私自身が本人かどうかを確認できないうちは、遺失物が届いているかどうかも告げることができない規則なのかもしれませんね」(前出・ライター)
同ライターの場合も拾得者は、遺失物に関する権利をすべて放棄していたという。落とした財布やバッグがそのまま戻ってくる日本、そしてコミケはやはり最高のようだ。