朝からこんな物語を見せられたら、一日が憂鬱になるというもの。そう感じる視聴者が続出しているようだ。
3月12日放送のNHK連続テレビ小説「ブギウギ」第113回では、ヒロインのスズ子(趣里)と8歳の娘・愛子(このか)との確執が勃発。なかなか友達のできない愛子を心配するあまり、口うるさく注意ばかりする母親に、愛子もすっかり嫌気がさしていたようだ。
そんな母娘の家にある日、新聞の文字を切り張りした怪しげな手紙が到着。しかし愛子はろくに内容を読まずに捨ててしまっていた。どうやらその手紙は脅迫状のようで、ラストシーンではスズ子家に興奮した男の声で「娘を誘拐されたくなかったら」との電話がかかってきたのである。
「制作陣としては視聴者が手に汗握ることを期待しているのでしょう。しかし当の視聴者は、あまりにも本筋から離れたドタバタ親子劇場にすっかり嫌気がさしているのが実情。もはや『ブギウギ』に対する興味が失われているようです」(テレビ誌ライター)
そんな視聴者の態度は、Xのポストに顕著だ。ファンはハッシュタグ「#ブギウギ」を付けて投稿。一方でアンチが「#ブギウギ反省会」を付けてポストするのは朝ドラではもはや定番の流れだが、いわゆる“本タグ”と呼ばれる「#ブギウギ」の投稿に異変が起きているのである。
通常なら本タグの投稿では、その回の面白かったところに関する議論が深まるもの。ところがこの日は、前日に放送された「羽鳥善一 二千曲作曲ビッグパーティー」の話題で一色となり、羽鳥を演じる草彅剛に関するポストが目白押しだったのである。
「これは草彅人気の反映というよりも、第113回の内容があまりにもつまらないため、前日の話題がタイムラインの上位を占めてしまっているのでしょう。最新ポストを表示させても第113回に関する言及は少ないうえ、本タグにもかかわらず内容への批判が散見される始末。なかでも演出への批判が目立っているのが特徴でしょうか」(前出・テレビ誌ライター)
演出への批判と言えば、史上最悪の朝ドラと呼ばれた2022年前期の「ちむどんどん」を思い起こす人も多いことだろう。あまりに荒唐無稽な内容や、歴史考証を完全に無視した設定に視聴者の怒りが爆発。「#ちむどんどん反省会」が本タグをはるかに上回る活況を見せたものである。
その「ちむどんどん」では、物語の舞台である沖縄を軽視した演出が批判の的になっていた。そして「ブギウギ」では、ヒロインのモデルである笠置シヅ子のスターぶりをちっとも感じられない演出への批判が続出。笠置のことを知らない視聴者から見たら、ヒロインのスズ子が国民的なスター歌手にはとても見えないことだろう。
「それに加えて作品自体のパワーも足りな過ぎます。『ちむどんどん』は世紀の迷作でしたが、そのとんでもぶりは常軌を逸するレベルであり、アンチ勢もある意味で作品を楽しんでいました。ところが『ブギウギ』では笠置シヅ子に対するリスペクトの乏しさに加えて、ホームドラマとしても見ごたえが薄く、ヒロインの人物像も薄っぺらい限り。“実は演技派”と称される趣里が無駄遣いされていると、同情の声まであがる始末です」(前出・テレビ誌ライター)
趣里が昨年末の紅白歌合戦に登場しなかったのも、本作の出来栄えに大きな不満を抱いていたからではないか。そんな噂話さえ信ぴょう性を増してしまうほど、今回は目を覆う出来栄えとなっていたようだ。