Q:1歳9カ月の息子が少し前から、よく物を投げるようになってきました。おもちゃや目の前にある物、自分が口に入れていた食べ物などポイポイ投げて困っています。「ダーメ!」、「やめなさい!」と叱ってみたり、軽く手を叩いて「ダメだよ」と教えたりしていましたが、言えば言うほどエスカレートしてわざと投げているようにも見えます。怒らないほうがいいのでしょうか?それとも叱るには小さすぎるのでしょうか?
A:ご相談者さんの言うように、怒るには確かに小さすぎる年齢ですね。ですが、いけないことの理由を説明すれば、それはちゃんと子供に伝わります。ここでは手を叩いて叱ってみたと言いますが、そっと叩いただけなのではないでしょうか。子供にとっては、ちょっとしたスキンシップだったのかもしれません。叩く行為が禁止の意味だと知るのはまだ先です。意味がないので止めましょう。
では、なぜ息子さんは物を投げるのか、考えてみましょう。
1歳のころは、立てるようになり、歩けるようになり、今までできなかったことができるようになっていく時期です。自分では寝返りを打つことさえできなかった赤ちゃんが、手足を自分の意思で自由に動かせるようになったからこそ、いろいろなことをやってみたい時期なのです。
物を投げるというのは、握ったものを飛ばすことができるようになったという成長の証。物を握った感触、投げたものがどう動いていくのか、それが落ちた時にどんな音がするのかなどを実験しながら楽しんでいると考えられます。
いろいろなことをやってみたい好奇心が芽生えたこの時期、その芽を伸ばしてあげる手助けをしてあげてほしいものです。
この頃から必要となるのは、外遊びです。子供をぞんぶんに外で遊ばせているでしょうか。子供はエネルギーの塊ですから、運動が十分でないと欲求不満になります。その不満をモノに当たっている可能性も考えられます。
ただ、一度口に入れた食べ物を吐き出すのは、味や食感が息子さんに合っていないことも考えられます。小さな子供にも味覚はありますし、歯ごたえや食感にも好き嫌いがあります。歯も生えているでしょうから、幼児食だからといって食材をつぶすのだけではなく、小さく切って食感は残すようなこともチャレンジしてみてください。どんなものをよく食べるのかを観察して、幼児食を工夫してみましょう。たとえば、数種類の市販の幼児食を食べさせてみて、どんなものを好むのか研究してみるのもいいですね。
(監修・ストレスケア日比谷クリニック 酒井和夫院長/取材・文 李京榮)