北川景子と大森南朋が主演の連続ドラマ「あなたを奪ったその日から」(フジテレビ系)が、佳境に差しかかっている。同作は、食品事故で女児を失った母親の中越紘海(北川)が、事故を起こした惣菜店の男・結城旭(大森)の3歳の次女・結城萌子(一色香澄)を誘拐するサスペンスフルな親子物語。事件から11年が経過して、次女は「中越美海」としての人生を歩んでいたが、今後新展開があるようだ。
北川といえば、「女性が選ぶ『なりたい顔』ランキング」(ORICON NEWS調べ)で8度も首位に立つ正統派。私生活ではDAIGOと2016年に結婚して、保育園に通う4歳の長女、1歳の長男を育てる2児のママだ。DAIGOは、今年の「第44回ベスト・ファーザー『イエローリボン賞』」の芸能部門を受賞。良妻とイクメンの夫婦は、アイコンとなりつつある。
「あなうば」では、実子と同じ年代・同じ女児を誘拐する母親役を演じているとあって、オンエア前から注目された。ふたを開けてみれば、人の幸せを奪うネガティブな内容に終始せず、家族愛もある。時折り見せる狂乱と、母性に包まれた優しい素顔も丁寧に演じて、俳優としての振れ幅を見せた。
追い風となるのは、11月28日に公開される主演映画「ナイトフラワー」。草彅剛主演の「ミッドナイトスワン」で「第44回日本アカデミー賞」最優秀作品賞に輝いた内田英治氏が原案・脚本・監督を手がける注目作だ。今回も、演じるのは母親役。昼はパート、夜はスナックで働くギリギリの生活の中で、2人の子どもの夢を叶えるために、ドラッグの売人になるストーリーだ。
特筆すべきは、ほぼスッピンで撮影に挑んだところ。さらに、出身地である兵庫県に当て書きされたように、全編が関西弁である点だ。解禁されたティザー映像では、大雨で顔面を滴らせながら、鬼気迫る勢いで「子どもたちに未来見せてやりたいねん」というセリフがある。北川が関西弁で挑むのは、佐々木蔵之介と横山裕(SUPER EIGHT)のダブル主演映画「破門 ふたりのヤクビョーガミ」以来9年ぶり。映画出演は、22年の「ラーゲリより愛を込めて」以来だ。
母親役の連投は、完璧な“台本”だと芸能ジャーナリストは分析する。
「通常なら、ダーティーな方法で生き延びる母親役の連続は避けたいはず。でも、今の北川さんには突っ切ることができる俳優としての強さ、損なわれることがないパブリックイメージの強さを兼ね備えているので、むしろ優位に働く。プライベートでは、あこがれの対象となる夫と二人三脚で子育て真っ最中。タレントとしては、KINUJO(キヌ-ジョ)のドライヤーでブランドアンバサダーに就任。ドラマ、映画、CM、2児の母としては抜かりなし。この道筋は、女優として完璧な脚本といえます」
最終回を迎えたあとの「あなうば」ロスをかき消すような獅子奮迅。“母”は強しか。
(北村ともこ)