TBS日曜劇場は2013年放送の「半沢直樹」が大ヒットしてから「社会派ドラマっぽいもの」が大好きな枠になったように思う。
6月15日に最終回を迎えた「キャスター」(TBS系)を見ながら、陰謀と欲望が絡み合ったどんでん返しに次ぐどんでん返しの結果が、“黒幕は今作には登場しなかった別人です”という、まったくスッキリしないオチだったことにムカムカし続けている。
まるで続編があるかのような、3か月間ドラマ視聴してきたことが無意味のように感じられた「キャスター」の最終回に、「社会派ドラマっぽいもの」でなく、本当の意味で社会派ドラマだった、6月3日に最終回を迎えた多部未華子主演「対岸の家事」(TBS系)の続編制作を、考えてほしくてたまらなくなっている。
「対岸の家事」には「これが、私の生きる道」というサブタイトルが付いていて、いかにも「女性向けホームドラマ」のように感じられるのも確かだ。しかし実は、現代社会が抱える「出生率の低下」「子どもの体験格差」「男女雇用機会均等法の現実」「親との向き合い方」等々、身近な社会問題を堅苦しさ抜きで提起し、視聴者にさりげなく「考えさせる」きっかけを与えた、真の社会派ドラマだったように思うのだ。
最終回では、バリバリの営業職だったが育児のために仕事内容を変更していた礼子(江口のりこ)が再び営業職になり、夫・量平(川西賢志郎)はこれまで務めていた会社を退社。転職を考えて主夫になっていたからその後が気になる。
育休中の中谷(ディーン・フジオカ)は母親との確執が氷解したことで、成果主義は変わるのか、妻・樹里(島袋寛子)との関係にも変化はあるのか、育休が明けたらどこまで家事をするのか、非常に知りたい。
詩穂は専業主婦のまま居酒屋で店長をしている虎朗との第2子出産をするつもりなのか、それならこれまでの生活水準を落とすことになるのか、とても興味が湧く。
ネット上にも「キャスター」より「対岸の家事」の続編を待っているという声があがっているが、TBSにこの声は届くだろうか。
(森山いま)