6月23日に最終回を迎えた「夫よ、死んでくれないか」(テレビ東京系)に「そう来たか」の声があがっている。丸山正樹氏による同名の原作小説とはまったく違う最終回を迎えたことで、キーワードになっていることがわかった「熊」を、今こそ「第1話から見返して探したい」という声がネット上にはあがっている。
原作小説とは登場人物も違えば設定も違うため、まさに「小説はあくまでも原作」だった今作は、大胆でブラックな笑いのある仕上がりになったように思う。原作小説ではメイン3人の夫は誰も死なないが、ドラマの結末は違った。
麻矢(安達祐実)の夫である光博(竹財輝之助)は、麻矢と一緒に行ったキャンプ先で熊に殺害され死亡した。前週第11話で、友里香が憧れているママ友の映美(新山千春)が、麻矢といい感じになっていた千田(久保田悠来)の妻であることが判明し、さらに映美が千田を殺害したことからタイトルの回収は終わったと思っていたので、この展開には驚いた。
璃子(相武紗季)の夫である弘毅(高橋光臣)は、自分が交通事故に遭ってまで璃子を助けたことで璃子の気が変わり、離婚せずやり直すことに。しかし、璃子のお腹にいる子どもは自分とは血縁のない子どものため、それを受け入れられるか悩んでいる。
友里香(磯山さやか)の夫である哲也(塚本高史)は、友里香から離婚され娘の親権も取られる。友里香は母親に娘の世話を頼んで働くようになるが、もともと友里香は仕事が嫌で専業主婦になったし、いつまでも高齢の母に娘を預けられるとは思えない。さらに娘は、母親の友里香と麻矢と璃子が、父親である哲也をロープで縛って殺害しようとしていたことを目撃していたことから、持っている熊のぬいぐるみなどをヒモでぐるぐる巻きにしている様子が描かれたので、PTSDといったら大袈裟かもしれないが、心理的に傷を負っている可能性は非常に高い。
璃子も友里香も、不穏な未来が待ち受けているが、夫を熊に襲われた麻矢は熊に対し「お前が殺すなよ」と呟いたり、光博を火葬炉に入れる前は泣き声かと思ったら笑い声をあげたり、ラストシーンでは璃子と友里香と「熊鍋」を食べに行っていたから、3人の中で最も図太く生きて行きそうな気がする。
思い返せば、15年前にキャンプ場で3人が起こした「殺害未遂事件」も、麻矢が見知らぬ男に声をかけられ、ホイホイとついて行ったことが発端だった。男に乱暴されそうになった麻矢は、木彫りの熊で男を殴って意識を失わせた。
麻矢が勤めていたのは「熊部エステート」だし、オープニングで友里香がお腹を引き裂くぬいぐるみも熊だし、友里香の娘がヒモでぐるぐる巻きにするぬいぐるみも熊。そして麻矢の夫・光博は本物の熊に殺害されたのだから、もっと探せば「熊」がたくさん登場しているかもしれない。
(森山いま)