親の死というのは、突然やってくることもあります。葬祭事業などを営む公益社が、2018年3月に実施した「葬儀リテラシー」に関する意識・実態調査によると、「あなたが喪主を務めた葬儀において、後悔していることはありますか?」という問いに対して、約半数の49%が「ある」と回答。具体的には「費用が想定の2倍以上になった」という61歳の男性の回答がありました。後悔といわれると、いざ自分の身に起こったとしたら、どうしたらいいのか迷ってしまいそうですよね。そうならないためにも、事前に想定しておきたいのが葬儀費用のことです。
日本消費者協会が実施した2017年の調査によると、葬儀費用の全国平均は約196万円となっています。しかし、実際のところ少し状況は異なるようです。
「200万円ぐらいを要する葬儀をされた場合でも、公的扶助の葬祭費・御香典・保険金などの収入もあり、一方的に支出だけがかさむわけではありません」(公益社の葬祭ディレクター)
実際、葬儀費用が想定を超える原因にはどんなことがあるのでしょうか? 公益社の葬祭ディレクターは次のように話します。
「葬儀費用が大幅に想定を超えてしまうのは、実際に必要な費用を事前に正しく把握できていないことが原因になります。広告金額を鵜呑みにしたり、人数・場所(式場、火葬場)などが曖昧なまま費用を想定して葬儀を行ったりすると、想定外の請求金額に驚くことになりがちです」
よく見かける安価な葬儀のパックプランも、個別に整理されたものではなく、条件が曖昧であるため、本当に必要なものが不明瞭なことが多いといいます。
「いざとなってから不足に気が付き、抜けている項目や漏れを補っていくと、最終的には一般的な葬儀となんら変わらない金額になって『後で大幅な追加料金を請求された』などのトラブルに発展することもあるのです」(同ディレクター)
費用面の対策としては、次の方法があるようです。
●葬儀費用の内容の理解を深める(サービス・物品・返礼品・料理・火葬場・車両など)
●人数、場所(式場・火葬場)、宗教などを実際に沿った形で明確にし、見積りは必ず「人数・式場名・火葬場名」などの具体的な条件を揃えて出してもらう
●複数社を比較するときは、条件に差異がないか、項目に抜け漏れがないかを必ず確認する
そして、葬儀費用以上に、実際に利用するセレモニーホールの利便性や葬儀社のサービス力を見極めることも大切だといいます。
「きちんとしたサービスを提供する葬儀社を探すことは、喪主やご家族の負担を減らすことにつながります。実際に訪問して、事前相談やセレモニーホールの見学などを行い、自身の眼で確認し、葬儀社のサービス力も体感したうえで最終的に決断するのをおすすめします」(同ディレクター)
後悔しない葬儀を行うためにも、費用や葬儀社などについて、十分見極める目と知識を持ちたいものですね。