猛威を揮ったコロナもいったんは落ち着いたが根絶まで戦いは続き、コロナ以前とは異なった新たな社会生活では当面の間マスクは欠かせない。
そこで夏を迎えようというこの時期、温暖化の影響で猛暑が心配されるが、これからのシーズン、マスク着用はなんとも辛い。そこで製造メーカーは涼感マスクなるものを続々と売り出している。また、マスクはもはや欠かせない日常品。仕方なく着けていた時代とは異なり、ファッション性で優れるマスクも続々と登場している。と同時に、新たに生まれた確実に儲かる市場ということで、異業種からの新規参入が相次いでいる。
まずは同じ布製品を扱うアパレル業界だ。
ユニクロは「エアリズム」を利用したマスクを今夏販売すると明らかにした。エアリズムは言うまでもなく、通気性や速乾性に優れた機能性肌着で使われていたものだ。スーツ販売で覇を争う青山商事とアオキ(AOKI)も相次いでマスク販売に乗り出している。前者は細菌の増殖を抑制する鉄イオンを配合した生地のマスクを製作し、後者は撥水や抗菌加工を施した3層構造のマスクを生産している。いずれもこれまで培われたノウハウをマスクに使用した商品となっている。
「アパレルはコロナ禍での落ち込みがとりわけ目立った業界の1つです。先日、大手のレナウンがわずか8700万円が足りずに破綻したばかり。ユニクロは4月の決算発表の場で柳井正・会長兼社長が『服を作ることが本業』としてマスクを作らない方針でしたが、確実な需要や顧客からの声などもあってマスク市場に参入することに。業界の雄が乗り出すことで大きな台風の目になるかもしれませんね」(経済ジャーナリスト)
店舗の多い量販店では、無印良品がすでにネットストア限定で繰り返し洗えるマスクを販売している。ただ、売り出した5月頭はアマゾンが正規での取り扱いを開始したタイミングと重なり、加えてあっという間に売り切れてしまったこともあり、「幻の商品」となっていた。これをまた再開する。無印らしくオーガニックコットン素材を使用、Tシャツやパジャマの製作で余った布を活用したものだという。
やはり布製素材の開発に優れたスポーツメーカーの参入も相次ぐ。
ミズノは水着素材のマスクを販売。陸上ウェアなどにも使われているもので、伸縮性に優れフィット感が良く飛沫拡散も抑制されるとか。第1弾が即売り切れたので、ラインナップを整えての再販売だ。ヨネックスはキシリトールを生地に配合した涼感マスクを7月から売り出す。バドミントンの日本代表やプロテニスプレイヤーらが着用している素材だという。
非常事態宣言が解除されても外出は控えて運動不足になりがち。こちらはその解消のため、ジョギングなど自宅周辺で汗を流す層に受けそうだ。
(猫間滋)*写真はイメージ