7月18日に亡くなった俳優の三浦春馬さんの遺作となったドラマ「おカネの切れ目が恋のはじまり」(TBS系)の最終回が10月6日、放送された。世帯平均視聴率は10.9%だった。
「ドラマは全8話の予定でしたが、撮影途中で三浦さんが亡くなり、脚本は書き直され全4話となりました。三浦さんの登場シーンは先週放送分でほぼ終わっていたようで、最終話では冒頭に約20秒だけ登場。その後は“朝早くからどこかへ出かけてしまった”という設定で物語は進み、三浦さん演じる猿渡慶太は回想シーンとして登場、他の出演者によって語られる、という体裁になっていました」(テレビ誌ライター)
第3話で慶太とキスしてしまった主人公・九鬼玲子(松岡茉優)。通常ならふたりの仲がどうなるのかといったストーリーが展開されるところだが、慶太は出かけたまま帰らず、会社も無断欠勤。
このあたりから、SNSには「慶太はもう戻らないのかな…」「春馬くんはもう登場しなそうだね」と、三浦さんの出演シーンはもう残っていないことに勘付く視聴者の反応が寄せられていた。
玲子は啓太が連れてきた猿のロボット「猿彦」に「あなた少しご主人と似ているところがありますよね」と語りかけるが、ドラマでは猿彦がまるで慶太の役を代わりに演じているような雰囲気だ。
玲子は猿彦を抱きかかえ、父親に会うために伊豆へ向かう。時おり猿彦に語りかける玲子は、まるで慶太に向かって話しているかのように見えてくる。
「ドラマの中、松岡さん演じる玲子たちは慶太を想い出し、『どこにいっちゃったんだろう?』『いつ帰ってくるんだろう?』といったセリフを口にしますが、それはまるで三浦さん本人に向けられた言葉であるように思えてきて仕方がありませんでした。特に印象的だったのは、慶太の両親(草刈正雄・キムラ緑子)が鎌倉の九鬼家に居候する慶太の部屋で『あいつはあいつのままでいい』『ママはいつだって慶ちゃんの一番のファンだからね』と語ったシーン。そして伊豆から帰る電車の中で、板垣(北村匠海)から『猿渡さん、いい加減帰ってきましたかね?」と問われて、玲子が『どうでしょうかね。もともと住むところが決まるまでとおっしゃってましたから、新しい居候先でも見つけたんじゃないですか』と語るシーン。出演者たちの三浦さんへの想いと、三浦さんがそこにいない喪失感、寂しさが画面から漂ってきました」(前出・テレビ誌ライター)
物語は、縁側で眠る玲子に一匹の螢が止まるシーン(まるで慶太が優しく毛布をかけているようにも見えた)、そして朝になり誰かが帰ってくる気配に気づき、目覚める猿彦と玲子…玄関の戸が開き、誰かが入ってくる──それは誰かが入ってくる気配だけなのかも知れない──嬉しそうな、そしてどこか悲しげで淋しそうな玲子の表情を映し出して終わる。
画面は三浦さんの満面の笑顔にかわり、「春馬くん ずっと大好きだよ キャスト・スタッフ一同」とテロップが流れた。
視聴者からは「松岡さんの最後の表情の演技が凄かった!」「そこに三浦さんがいるような気がしました」といった声が上がっている。
(石見剣)