昨年がデビュー10周年記念だったKis-My-Ft2(以下、キスマイ)は、越年しても順調だ。1月からのアリーナツアーを成功させた直後にドームツアーがスタート。YouTubeチャンネルも開設して、11年目も順調すぎる滑り出しだ。
今でこそ順風満帆だが、前身グループ「Kis-My-Ft」に「2」の二階堂高嗣が加入したことによって7人組となった10年から、CDデビューにいたる翌11年のわずか1年の間には、センシティブな現実を突き付けられていた。二階堂と横尾渉がクビを切られていたのだ。
KAT-TUNのバックダサンサーとして絶大な人気を誇っていたジャニーズJr.内ユニットのKis-My-Ftは、10年9月にジュニアの登竜門とされたミュージカル「少年たち~格子無き牢獄」に出演した。北山宏光、藤ヶ谷太輔、玉森裕太、千賀健永、宮田俊哉がキャストに名を連ねたが、二階堂と横尾は外された。横尾は舞台期間中、別の仕事を与えられていた。
横尾がマネージャーに「メンバーが出ている舞台を観に行きたいです」とお願いすると、「来ないでください」と断られた。そして、「今来られると困る。メンバーには会ってほしくない。だから、君にこの仕事をあげてるんだよ」と衝撃的事実を伝えられた。
「この苦い経験があるので、横尾は自分を『もともといなくてもいい人間』と位置づけしてしまった。キスマイとしてのCDデビューが決まってからも、6人のほうがうまく行くと思いこみ、親友の藤ヶ谷に『辞める』と告げていたそうです」(アイドル誌ライター)
横尾には前段があった。ジャニーズ事務所への入所時も、“いなくてもいい扱い”をされていたのだ。
入所前、保護者として付き添った兄に、故・ジャニー喜多川氏が「キミも受けなさい」と声をかけた。しかし、兄が「僕はやりたいことを決めているので、弟に託したい。弟を見守ってください」と断ったことで、ジャニー氏は「じゃあ、ボクはずっと弟の面倒を見てあげるよ」と約束している。
「しかし、ジャニーさんは入所後、横尾に『お兄ちゃんのほうを入れたかった』と言っています。さらに、ジャニーさんは5人でのデビューを希望していて、北山と藤ヶ谷から7人でと直談判された時、『覚悟はあるの?』と確認しています。デビュー後も、『やっぱり5人がよかったな』と漏らしたこともあったそう」(前出・アイドル誌ライター)
悲運すぎるジャニーズだった横尾。しかし今では、大人気バラエティ「プレバト!!」(TBS系)の俳句査定で2度も優勝。趣味の料理を生かしてマグロ解体師1級、愛犬のためにペット介護士の資格を取得して、ソロの仕事を増やした。キスマイのなかではいちばん地味だが、反骨精神はピカイチかもしれない。
(北村ともこ)