女優の上白石萌歌がヒロインの体育教師役を務めるドラマ「ペンディングトレイン-8時23分、明日 君と」（TBS系）の第7話が6月2日に放送され、終盤に向けての大きなターニングポイントとなるシーンが描かれた。
大きな衝撃と共に未来へとワープしてしまった電車に乗り合わせていた乗客たち。体育教師の畑野紗枝（上白石）は同じ電車に乗っていた消防士の白浜優斗（赤楚衛二）に好意を抱いていたが、未来の世界でサバイバルを続けるなかで不器用な生き方を見せる美容師の萱島直哉（山田裕貴）にも心を惹かれ、第7話では彼女が萱島を後ろからバックハグする場面に視聴者は沸いていた。
エンディングでは電車がワープしてしまった原因と思われるワープホールらしき現象が出現。現代に戻れるかもしれないとの希望が生まれるなか、果たして紗枝たちはサバイバル生活から脱することはできるだろうか。
そんな展開に視聴者がハラハラするなか、サバイバル生活のなかで成長を見せる紗枝を演じる上白石自身が、これまでの女優人生でもサバイバルを経験してきたというのだ。
「10歳で東宝シンデレラのグランプリに輝き、華々しいデビューを飾った彼女。しかし鹿児島在住だったこともあってか、ドラマや映画は単発の出演に留まっていました。その姿は同じコンテストで審査員特別賞に選ばれ、姉妹同時受賞を果たした2歳年上の姉・上白石萌音とは対照的だったのです」（芸能ライター）
萌音と萌歌は同じ東宝芸能に所属し、コンテスト受賞たちがそれぞれ主役を務めるショートムービーのオムニバス映画「空色物語」にて映像デビューを果たす。ちなみに同時にデビューしたのが、ニュージェネレーション賞を受賞した浜辺美波。一つのコンテストからトップ級の若手女優が3人も輩出されるという、伝説的なイベントとなっていたのだ。
同じタイミングで芸能活動をスタートした萌音と萌歌だが、萌音はすぐにNHK大河ドラマ「江～姫たちの戦国～」にてドラマデビューを果たし、翌年にはミュージカル「王様と私」で初舞台。さらにアニメ映画「おおかみこどもの雨と雪」で声優を務めるなど順調すぎるスタートを切っていた。
それに対して萌歌はドラマ「分身」（WOWOW）でドラマデビューを果たすも、萌音に比べて若すぎたこともあってか、なかなかドラマや映画には出られない日々が続く。初の映画出演は2015年公開の「脳漿炸裂ガール」だったが、萌音は2014年公開の「舞妓はレディ」で早くも初主演を果たし、しかも同作の活躍で第38回日本アカデミー賞優秀賞まで受賞していたのである。
「萌歌は高2の2016年3月にドラマ『さよならドビュッシー ～ピアニスト探偵 岬洋介～』（日本テレビ系）に出演。同作は話題作となり、彼女もそれなりに注目を浴びました。一方で萌音は同年8月公開のアニメ映画『君の名は。』で主役・三葉の声を担当。その活躍度は萌音が大きく先行し、東宝シンデレラでの序列が大きく逆転していたのです」（前出・芸能ライター）
実の姉を相手にサバイバルを強いられることとなった萌歌。芸能界で兄弟姉妹が並び立たないのはよくあることだが、当人としてはそんな悠長なことも言ってられないだろう。ただ萌歌には大きな武器があった。それは歌の才能だ。
実際のところ姉の萌音も歌唱力は高く評価されており、姉妹そろってアーティスト活動しているところも驚きだが、萌歌はその歌のおかげで活路を見出すことができた。姉の萌音が「君の名は。」で注目を浴びていた2016年の夏に、萌歌はミュージカル「赤毛のアン」にて初舞台にして初主演を務めていたのである。
翌年にはスタジオジブリの大ヒット映画「魔女の宅急便」のミュージカル版で主人公のキキを熱演。舞台女優としての評価が高まるなか、2018年には綾瀬はるか演じる義母と一緒に暮らす女子高生を演じたドラマ「義母と娘のブルース」（TBS系）が放送。ここにきてやっと、萌歌は世間に“見つかった”のである。
「ただその後も彼女は何度となくサバイバルに直面することに。二十歳を迎え、女優として大きく羽ばたこうとする時期に新型コロナ禍が直撃し、出演舞台『お勢、断行』が中止に。歌や舞台に力を入れていたこともあり、コロナ禍の影響をもろに受けることになりました。また昨年にはNHK連続テレビ小説に初出演を果たしたものの、その『ちむどんどん』には“朝ドラ史上最低の問題作”とのレッテルが貼られることに。前作の『カムカムエヴリバディ』で序盤のヒロイン・安子を演じた萌音とはまたもや対照的な評価に直面したのです」（前出・芸能ライター）
それでも萌歌には女優やアーティストとしての実力が備わっているのだろう。朝ドラ後に停滞してしまう女優も少なくないなか、今年に入ってからは1月期ドラマ「警視庁アウトサイダー」（テレビ朝日系）でヒロインの直央を演じ、現在は話題作の「ペンディングトレイン」で2作連続のヒロインを担当。さらには5月から音楽番組「The Covers」（NHK BS）の5代目司会に就任するなど、活躍の場を大きく広げているのである。
そんな萌歌の女優人生は、現在発売中のエンタメ誌「アサ芸Secret！ vol.83」（徳間書店）に掲載されている特集「上白石萌歌の女優人生を徹底深掘り」で詳しく検証。ティーン誌のモデルとして活躍していたことや、まさかの心霊体験についても触れられており、彼女のこれまでの歩みを深く知ることができる。
果たして萌歌のサバイバルな女優人生はこれからどう進展していくのか。そして「ペンディングトレイン」の乗客たちは現代へと戻ってこれるのか。いずれのサバイバルも今後が見逃せないことには変わりがないようだ。
