これほど意味深なセリフになるとは、制作側も意図していなかったのではないだろうか。
1月29日放送のNHK連続テレビ小説「ブギウギ」第82回では、ヒロイン・スズ子(趣里)が舞台「ジャズカルメン」の稽古に勤しむことに。その稽古場にゴシップ誌「真相婦人」の記者・鮫島(みのすけ)が忍び込み、スズ子が妊娠中であることを暴露したのだった。
稽古終わりにいきなり鮫島に直撃され、驚いた表情を撮影されたスズ子。誌面にはその写真と共に「カルメン妊娠6か月」「父親は一体誰!?」との見出しが踊っていたのである。
「稽古場を直撃された際、日帝劇場のプロデューサー・小島(田村裕)は『まったく! 三流雑誌のゴシップ記者だよ』と苦虫を噛みつぶしたような表情に。スズ子には『ま、何書かれても気にしなくていいから』とフォローの言葉を掛けていました。ここまでは想定内のセリフでしたが、続けて『こっちは揉み消しのプロだ』と言い放ったことには驚かされましたね」(テレビ誌ライター)
田村がお笑いコンビ「麒麟」のメンバーであることは誰もが知るところ。その麒麟が所属する吉本興業はいままさに芸能ゴシップの渦中にあるところだ。
週刊文春がダウンタウン松本人志の性的行為強要疑惑を報じ、事実無根とする松本側は1月22日に週刊文春を提訴。松本を巡る騒動はゴシップ記事の段階から次のステージに入ったと言えるだろう。
そのタイミングで当の吉本興業に所属する田村が、あくまで与えられたセリフとはいえ「こっちは揉み消しのプロだ」と語ったのだから、その裏にはいったいどんな意図が忍ばせられているのかと、訝る視聴者も多かったのである。
「SNS上では《田村が言うと意味深だな》《吉本芸人に言わせるの、おもしろい》といった感想が続出しています。本ドラマには田村のほかにも友近やメッセンジャー黒田有、なだぎ武やジャルジャル(後藤淳平・福徳秀介)ら吉本芸人が多数出演しており、いわば吉本完全協力と言える状況。それにもかかわらず吉本をダークキャラ扱いするセリフには《ブラックジョークか!》といった驚きの声もあがっているほどです」(前出・テレビ誌ライター)
これで松本の騒動がなければ視聴者の指摘通り、田村のセリフもブラックジョークで済んでいたことだろう。朝ドラの撮影はかなり早めに進行しており、昨年12月27日に週刊文春がスクープ記事を掲載した時点にはすでに田村のセリフも収録済みだったはず。
その時には制作側も「揉み消しのプロ」というパワーワードを、攻めた内容として使うつもりだったのではないか。どうやら朝ドラ制作陣も文春のスクープには肝を冷やしていたに違いなさそうだ。