パリ五輪・柔道混合団体で賛否をもたらした“疑惑“のルーレット抽選について、柔道男子60キロ級で五輪3連覇を成し遂げた野村忠宏氏が「不正が行われることは絶対にありえない」との見解を述べている。
日本代表は3年前の東京五輪と同じ対戦カードであるフランス代表とのファイナルを迎え、幸先良くポイントを先取したが、その後に追いつかれ、6人を終えた段階でも決着がつかない激闘となった。
最後はデジタルルーレットによる抽選で無作為に階級区分が選ばれ、コンピューターが指定したのは「男子90キロ超級」に。3戦目で一度、フランスの絶対王者テディ・リネールに敗れている斉藤立には絶好のリベンジチャンスとなったが、ゴールデンスコア方式のサドンデス延長の末に再び惜敗を喫し、日本は金メダルを逃す結果となった。
ネット上では、このルーレット方式での抽選について「リネール確定ガチャ」だと疑う声が出ているが、8月5日放送の「DayDay.」(日本テレビ系)に出演した野村氏は「デジタルなので、不正をやろうと思ったらやれるかもしれないし、不透明な部分はある」としつつ、「五輪の舞台で、しかも国際柔道連盟も管理している。この素晴らしい舞台で不正が行われることは絶対にありえない」とコメントした。
一方、柔道界からも一部で疑問視する反応はあるようで、野村氏は、「わかりやすいアナログの方式とか、クジを引くとかやり方はあると思うんですけど、国際柔道連盟が決めたことなので、そこを信じるしかない」とし、「アナログでも不正をやろうと思えばやれますしね」と語っている。
「不正がないことを100%証明することは難しいにせよ、審判団がルーレットのスイッチを押す場面を映像で公開するなどの演出もなく、観客や視聴者に対し、より透明性の高い誠実な見せ方ができたのではないかというのが世間の本音です。やはり五輪という神聖な大舞台である以上、“不正はないと信じられるだけの納得感”がもう少しほしかったところ。実際、日本人の誰もが予想し、懸念したであろうフランスのトップが当たる結果となり、野村氏も『抽選になった時、“90キロ超級だけは出るな!”と思ってましたよ』『出た瞬間に“あちゃ~…“ってなりましたよね』と振り返っていました」(テレビ誌ライター)
不正がないと信じたいが、疑う余白を残してしまうような演出スタイルだったことは悔やまれるところである。
(木村慎吾)