何度もくり返される不倫報道をものともしない斉藤由貴は、今後も仕事を干されることはおそらくないだろう。
なぜなら斉藤が演じるからこそ説得力が増す「恋多き母親役」は、ドラマや映画に必ず登場するポイントになるキャラクターだからだ。
奈緒主演の新ドラマ「あのクズ」こと「あのクズを殴ってやりたいんだ」(TBS系)でも、主人公・ほこ美(奈緒)の母親で「スナック明美」のママでもある「彼氏が途切れたことがないクズ男ホイホイ」をハンパない説得力で好演している。
10月8日放送の第1話では、スナック常連客を演じる玉袋筋太郎やお笑いコンビ・ラランドのニシダ・コウキらの目の前で山本リンダの名曲「狙いうち」をノリノリで歌唱しながら、サビ部分になるとスナック内のパーテーションに足を掛けたかと思うと、花柄ロングワンピースの裾をめくり上げ、常連客たちにアンダーウエアを見せるサービスまで余裕でぶっかましてくれたのだ。
明美(斉藤)のスカートの奥を確認できなかった常連客の1人から「今日は何色でしたか?」と問われた竹本(玉袋)が、「赤!」とうれしそうな顔で説明していたということは、どうやら明美ママのサービスはいつものことのようだ。
また、中学時代の主人公・ほこ美は、クラスメイトから「オマエの母ちゃん、クズ男ホイホイみたいだって」とはやし立てられ泣きながら逃げるシーンや、男にフラれて酒を飲み、自分がどこにいるのかわからなくなるまで酔いどれて街をさまよう明美を探すために、ほこ美は大事な仕事をキャンセルすることになるシーンなど、恋多き母親役を演じる斉藤を見ているはずが、斉藤の私生活をのぞき見しているかのような気分になるから不思議だ。
こんな相乗効果は斎藤以外の誰も生み出すことはできないだろう。「毒親」がドラマや映画で数多く描かれるようになった令和において、斉藤が仕事を干される時は、きっと不倫を辞めて良き母、良き妻になろうとする時だろう。
(津島修子)