年齢という数字にとらわれることなく、鎌倉に住む中年男女が人生を謳歌する月9ドラマ「続・続・最後から二番目の恋」（フジテレビ系）が、今月末の最終回に向かって佳境に差しかかった。主人公の小泉今日子と中井貴一のみならず、三浦友和や石田ひかり、美保純や森口博子らも、実年齢と近い年齢の役。平均世帯・個人視聴率は2ケタに届かないが、TVerのドラマランキングでは上位常連。お気に入り登録者数は127.5万に達しており、安定して視聴されている。
そんな中、同作出演が思わぬ特需につながっているのが飯島直子だ。本作では中井演じる長倉家の長女で、人の話を聞かないマイペースな専業主婦を演じている。さらに、今期はNHK大河ドラマ「べらぼう～蔦重栄華乃夢噺～」にも出演中。主人公の蔦重（横浜流星）の義理の母で、引手茶屋の女将を演じている。
話題の2作に出演しており、いずれも一筋縄でいかない役どころだが、飯島の“本性”は真逆。冠レギュラー番組である「飯島直子の今夜一杯いっちゃう？」（BSフジ）をキッカケに、“元祖癒やし系タレント”ぶりを復権させつつあるのだ。
飯島といえば、1994年に起用された缶コーヒー「ジョージア」のテレビCMで癒やし系キャラを一身に背負った。しかしその後は、2度の結婚と離婚、心身の不調による休業、病気の発覚などで波乱万丈。意図的に表舞台から姿を消したこともあったが、2年前にインスタグラムを開設すると事態が一変。日常の料理や自宅を公開すると、飯島のモデルやグラビアタレント時代を知らない新規のファンが飛びついた。
現在57歳だが、美貌は健在。「一杯いっちゃう？」が不定期放送から週レギュラーに昇格し、TVerでも共有されていることが人気の追い風に。ブレイクから30年の時を経て、新しい世代の目に触れることとなった。
「『最後から二番目の恋』が3回目のレギュラーにして月9枠に上がったこと、さらに、『一杯いっちゃう？』で地元の人と交流しながら酒を飲むというシンプルなコンセプトが、令和の今にマッチングしました。飯島がレギュラーを持つBSフジ含めて、今や『BS番組』は、6月5日放送の『アメトーーク！』（テレビ朝日系）が局の垣根を飛び越えて冠番組を持つ芸人を集めて特集したほど、映像業界では欠かせないコンテンツ。特に街、酒、グルメ、ふれあいが高い支持を得ており、“ゆったり・まったり”が求められているため、それらを兼ね備えている飯島さんは適役と言えます」（テレビ情報誌の編集者）
20代のころ、「ひとやすみ」を推奨しながら、やすらぎや癒やしをブラウン管型テレビから発信していた飯島。アラ還の今は、酒と親近感でおやじキラーぶりを再発揮している。
（北村ともこ）
