霜降り明星、チョコレートプラネット、ハナコらが出演する「新しいカギ」(フジテレビ系)が、テレビ業界に革新を起こしているという。2021年4月スタートの同番組は、「学校かくれんぼ」など学校をテーマとした企画を打ち出して中高生から絶大な人気を獲得。現在では、「高校バスケ全国制覇の道」や「ティーチャーをさがせ!」、「カギダンススタジアム」といった人気企画を擁し、コア視聴率(13~49歳男女)が高い番組として確固たる地位を確立している。
そんな「新しいカギ」、今年5月21日(日本時間)に最終結果が発表された優れたテレビ番組や広告などを称えるドイツの国際映像コンクール「ワールド・メディア・フェスティバル」にて、子どもと若者・オープン部門の銀賞を受賞。番組内企画「学校かくれんぼ」が評価され、快挙を成し遂げた。「新しいカギ」の面白さの“カギ”は何なのか。キー局の編成担当者が解説する。
「放送開始当初は、人気芸人を集めた割に、何をやっている番組かがわかりにくく人気も低迷していました。ところが中高生を対象とする企画に絞って一転、快進撃モードになり、昨年は『新しいカギ』をベースに『FNS27時間テレビ』が制作され、カギダンスバトルが大盛り上がり。若年層の視聴率を安定させました。とにかく一般の高校生を絡める企画が多く、参加型。全企画がノリ重視で作られているのでテンポ良く、非常に見やすい。特に、イジりやドッキリのような意地の悪い企画がほぼ皆無で、好感度も上昇し、アイドルから俳優まで有名どころがゲストで出演してくれる点も大きい。他局よりコア視聴率を重視しているフジテレビとしては、看板番組として猛プッシュ、というわけです。業界関係者の間では、このままいけば、平成の世に社会現象を巻き起こしたバラエティ番組『学校へ行こう!』(TBS系)を超える人気も期待できそうともっぱらです」
その「学校へ行こう!」といえば、V6(当時)メンバーがMCを務め、1997年から2005年まで放送された長寿番組。「新しいカギ」同様、「未成年の主張」や「お笑いインターハイ」、「B-RAP HIGH SCHOOL」など中高生を主軸にした企画で高視聴率を獲得した。番組終了後も関連番組が何度も放送される人気で、日本のバラエティ史に名を残す番組として知られている。そんな伝説的番組を、「新しいカギ」が超えることができるのか。
「世帯平均視聴率で言えば、『新しいカギ』は『学校へ行こう』に遠く及びません。ただ、現在では若者向けのテレビ番組自体が少なく希少価値が高い。CMクライアントとしては、この種の番組は、若年層とともに購買意欲が高い親世代も見ることを想定できる、すなわち一緒にターゲットにできることで、広告枠として非常に高く評価しています。フジテレビは中居正広氏をめぐる問題でCMクライアントが離脱中ですが、それでも『新しいカギ』だけは注目度が高いとか。若者がテレビを見なくなったといわれる時代に高い支持を集める『新しいカギ』はすでに『学校へ行こう!』より若者の間では影響力があるとも言えます。新しい伝説を作る可能性は十分ありますよ」(前出・編成担当者)
まだ未見の読者諸氏は、子どもとの会話のきっかけをつかむ意味でも一度視聴してみてもいいかもしれない。
(渡邊伸明)