こんなネーミングってあり?昨今のコスメの商品名が意味不明なワケ
最近、コスメの商品やシリーズ名がスゴいことになっていませんか? そのネーミングからは商品の特徴がよく分からないものも多いですよね。これって、どういう意図があるのでしょうか。ちょっと探ってみました!
“バズり”リップの代名詞といえば、カネボウKATEの『リップモンスター』。本日、1月24日に新色が登場します。色番の名前は、「とろける蜜桃」(美味しそう)、「口染めライチの甘い罠」(どんな色か分からない)、「いたずらベリーの道標」(たぶん可愛い)です。
もはや色を説明する気はなく、代わりに“どんな感じで塗るか”だけを全力で伝えてくるネーミングですよね。実は、リップの名前がここまで詩的、というか自由になったのは今に始まったことではないんです。
同シリーズには「欲望の塊」「ラスボス」「3:00AMの微酔」など、感情や物語をそのまま持ち込んだような名前が並びます。塗ったら、強くなったり色気に目覚めたり、はたまた街に出て夜遊びしたくなるようなものばかり。KATEは、早い段階からコスメを“感情のスイッチ”として売ってきたところがありますね。
同じ流れは韓国コスメにもはっきりみられます。人気ブランドのペリペラのシャドウ「ブルベさんは至急DMお願いします」「描いたところまでが私の目ですけど?」は、色名というより、ほぼ心の声。説明はしていないのに、読んだ瞬間に“分かる”と感じさせます。これが、いまのネーミングのいちばんの価値になっています。
かつてはもう少し直接的な名前も普通に存在しました。それが、2021年に英国発ナチュラルコスメブランドLUSH(ラッシュ)が商品名を見直したとき。フットパウダー「パパの足」が話題になりました。“働くお父さんの足は臭い”というイメージを笑いに変換できていた時代のネーミングでしたが、今あらためてみると少し引っかかるものがあります。
ある美容ライターは、「当時はユーモアとして成立していても、今は“誰かを特定のイメージに結びつける”こと自体が敏感に受け取られやすいんです。ネーミングの地雷が移動した感覚です。もしこれが「猫の足」だったら、むしろ肉球の“サラサラ”とか“フワフワ”のイメージとなって好印象となり、ちょっと欲しくなるという声もあります。では、「昨日の私の足」なら? これは自虐として成立し、ちょっと笑えて誰も傷付かないんですよ。問題は“臭い”ではなく、誰か特定の存在を想起させてしまうことなんです」と話します。
つまり、少し変で、少し長くて、ツッコミどころがあるくらいがちょうどいいんです。例えば、マジョリカ マジョルカのアイシャドウ「ゴージャス姉妹」もそのひとつ。叶姉妹を思い浮かべる人もいると思いますが、“ゴージャス”で“美しい”というポジティブなアイコンとして機能しているからこそ成立しているのです。憧れはOKで、決めつけはNG。その線引きが名前にも表れているというわけです。
「ゴージャスで美しいというポジティブなアイコンとして機能しているからこそ成立するのであれば、これからは“誰か”でもいい時代になるでしょう。もしかしたら、美容の師匠・田中みな実を想像させる「みなみの気まぐれ」や、神崎恵とMEGUMIのダブル“メグミ”で「めぐみの雨」なんてネーミングのコスメが登場してもおかしくはない気がします。誰かを貶めることなく、憧れとして共有できる名前ならむしろ歓迎される時代なんです」(前出ライター)
コスメの名前は、一見ふざけているようで実はいちばん空気を読んでいます。そうであれば、次に流行るのは色でも成分でもなく、“誰をどう想像させるか”なのかもしれませんね。
(生島マキ)
