今より20年ほど昔、携帯電話が普及する前のこと。SMAP時代の中居正広は、身の毛がよだつ恐怖体験をしている。テレビ番組制作会社の現場スタッフに話を聞いた。
「中居はジャニーズ合宿所を出て、マンションでひとり住まいをしていました。ある日、帰宅すると留守番電話のランプが点灯していた。再生すると、外国人女性が片言の日本語で、『もしもし、タツヤくん。早く出て』というメッセージを残していたそうなんです。そんな状況が1年も続いたとか。声を聞いても思い当たる人がいないのでずっと無視していたら、その言葉はだんだん過激になっていき、『タツヤくん、私、もう死ねばいいの?』となったんです。これだけでも、十分怖いんですが…」
直接対決の日は、突然やってきた。たまたま在宅していたとき、電話が鳴った。受話器を手にした中居は、「ずっと長い間、タツヤくんとおっしゃってますけども、ここはタツヤくんのおうちじゃないですよ」と、声の主に告げた。背筋が凍りついたのは、それに対する回答である。先の現場スタッフは続ける。
「なんと、『知ってます。中居くんですよね?』だったんです。相手の女性は、いわゆる電話ストーカー。『こういう電話だったら出てくれると思って』という発言から、ファンと推測されました。1年にわたる嫌がらせ電話は、中居宅だとわかった上で続けられていたわけです。逆上させてはいけないと中居が丁寧に諭すように説得すると、『わかりました』と素直に聞き入れてくれたそうです」
ところが、この実話にはオチがある。万事解決したはずの数日後、再び留守電が点滅していた。そこには「もしもし、タツヤくん。私、全然あなた離れない。私、タツヤくん好きだから…」というメッセージが残されていたのだ。
ジャニーズにいればあらゆるものから守ってくれるが、独立すればその保障はなくなる。中居がジャニーズ残留を決めた背景には、この時の恐怖体験があったのかもしれない。
(北村ともこ)