人気刑事ドラマ「相棒」(テレビ朝日系)の新シーズンがついに始まった。今回のシーズン17では浅利陽介演じる警視庁サイバーセキュリティ対策本部の特別捜査官だった青木年男が特命係に配属され、「相棒」史上初めての特命係3人体制となることも話題の1つだ。
そしてこの青木の加入が極めて異例の事態だということは、水谷豊演じる杉下右京の“相棒の法則”からもうかがい知ることができる。「相棒」ファンの間では有名だが、ドラマがスタートして以降、右京の相棒となっている刑事はこれまで4人ともすべて“か”で始まって“る”で終わる名前なのだ。初代の寺脇康文が演じた亀山薫(かめやま・かおる)。2代目は及川光博が演じた神戸尊(かんべ・たける)。3代目は成宮寛貴が演じた甲斐享(かい・とおる)。そして現在の4代目が、反町隆史が演じる冠城亘(かぶらき・わたる)。実はこの法則は、ドラマの中でも甲斐享が登場して間もない頃のシーズン11第2話で、組対五課課長・角田六郎(山西惇)と当時は鑑識課で現在は警察学校の教官となっている米沢守(六角精児)が指摘している。ちなみにこの共通項、とあるインタビュー記事で語られていたのだが、前にこのドラマのゼネラルプロデューサーを務めていた松本基弘氏がシーズン7の打ち上げで脚本家の戸田山雅司に指摘されて気づいたらしく、3代目の相棒の名前を決める時もそれを踏襲したのだとか。
さらに付け加えると、この4人の名前はすべて“地名”でもあるのだ。“亀山”は三重県の亀山市、“神戸”を“かんべ”ではなく“こうべ”と読めば、兵庫県の神戸市、“甲斐”は山梨県の旧国名。そして冠城は福島県伊達市にある地名なのである(ただし、“かぶらぎ”ではなく“かぶしろ”と読む)。青木に関しても、福岡県博多区にある青木を筆頭に、全国に何ヵ所か存在することも事実(“おおき”や“おおぎ”と読むものも含む)。ただ、やはり名前の法則に当てはまっていない点は見逃せない。要は、これら2つの“相棒の法則”を両方ともに満たしていない青木年男は、本当の意味での杉下右京の“相棒”ではないということなのだ。
今シーズンの第1話を観た限り、青木は特命係の部屋にいながら“サイバーセキュリティ対策本部分室”というのれんを掲げ、右京や冠城にやたら反抗的な言動を繰り返している。そしてなんといっても、特命係を目の敵にする副総監・衣笠藤治と通じていることもあり、青木がメインキャストとして登場して以降の、シーズン15と16以上に“引っ掻き回す役”としての活躍が期待される。
(ドラマウォッチャー・上杉純也)