極意その3 育児は夫婦ふたりの共通のしごと
出生率の高いフランス。男性は出産や育児にどうかかわっているのでしょう。フランスでの、女性の育児休暇は出産から3年間。子育てに一番手のかかるときに十分な休みが確保できます。しかも育児休業後に、休暇前と同等の地位が確保されることは法律で定められています。
男性はどうなのかというと、出産の際に父親が取れる休暇は2週間。フランスでは多くの男性がこの休暇を活用しています。母親に代わってミルクをあげ、おむつを替え、お風呂も入れ……フランスの男性にとっては当たり前のことです。
乳児期を過ぎても、父親は育児に協力的です。
「週35時間労働制」により、男女かかわらず、決まった時間に会社を出るようになったフランス。日本のように、その後、職場の飲み会……という風景もほとんどありません。そのおかげで、終業後、家族と過ごす時間が増えました。
会社が終わった後、保育園や幼稚園にピックアップに行くのは父親の役目。スーツ姿で子どもを連れ、その後、買い物へ行き、家に帰って夕飯を作る。そういった光景がよく見られます。
フランスでは小学校を卒業するまでは、子どもの通学には保護者が付き添いますが、送るのは母親で迎えに行くのは父親が担当、という家庭もあったり、1週間ごとに母親と交互に担当している家庭もあったり。いずれにしろ、送迎も夕飯づくりもすべて母親まかせ、ということはありません。
日曜日は法律的に労働が禁止されていて、小売店なども開いていません。公園は子どもと遊ぶ父親で溢れています。日本では母親が“公園デビュー”して“ママ友”の輪が広がって……となっていきますが、“パパ友”は聞きませんよね。でもフランス人は話好きなので、公園で育児の情報交換をしている父親たちもいるのだとか。
日曜日は必ず休めるので予定も立てやすく、プチ・ヴァカンス（小旅行）に出かける家庭も多いようです。
日本でもここ数年“イクメン”ブーム。
抱っこひも姿で赤ちゃんを抱いて歩いている、若い男性の姿も街でよく見かけます。でも、子どもが成長するにつれて、父親との絆がだんだん薄れていくケースが見られます。
男の子とは一緒にスポーツをしたり、共通の趣味を楽しんだり、人生の先輩として話をしたりと、関係が保ちやすい。でも女の子は思春期になると、父親との関係が難しくなるのではないでしょうか。娘と母親とは何でも話せる、親友のような姉妹のような関係なのに、そこに父親の入り込む隙はありません。
わたしは妹と二人姉妹ですが、二人とも父親ととても仲良しです。今でもよく食事に行くし、ホームパーティーにも招待しあうし、ときには一緒に旅もします。信頼して何でも話せる、特別な存在です。父親が大きな愛情でわたしを見守ってくれているのも伝わってきます。
娘といつまでもいい関係が続くような父親であってほしい。
わたしは日本のお父さんたちに、そう願っています。
愛される男の自分革命 人生が100倍輝く フランス人の極意
ドラ・トーザン（Dora Tauzin）／著 発売日：2016年05月20日 ISBN：978-4-19-864159-7 判型／仕様：四六判 定価：本体1,400円+税
ドラ・トーザンDora Tauzin エッセイスト。国際ジャーナリスト。仏・パリ生まれ。ソルボンヌ大学、パリ政治学院卒業。国連広報部勤務後、92年からNHKテレビの「フランス語会話」5年間レギュラー出演。慶応義塾大学講師を経て、現在は「アンスティチェ・フランセ東京」、「アカデミー・デュ・ヴァン」などで講師を務める傍ら、新聞、雑誌への執筆や、講演、テレビ・ラジオのコメンテーター等多方面で活躍中。 『フランス人は「ママより女」』、『パリジェンヌ流 今を楽しむ！自分革命』『フランス人は年をとるほど美しい』など著書多数。2015 年レジオンドヌール勲章シュバリエ受章。
