嵐がグループとしての活動を休止して1年余。リーダーである大野智以外のメンバーはそれぞれがソロ活動に精を出している。
バラエティ番組MCや新規のCM出演を増やしているのが相葉雅紀。しかし、ドラマ俳優としての評価は決して高いほうではない。昨年10月クール放送の主演ドラマ「和田家の男たち」(テレビ朝日系)は、初回平均視聴率6.3%でスタート。以降も5.2%、5.4%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)とひとケタが続いた。3年ぶりの連ドラに大ベテランの脚本家・大石静を担ぎ出し、段田安則、佐々木蔵之介ら演技派で脇を固めたにもかかわらず、数字が上向くことはなかった。国民的人気アイドルグループの一員とはいえ、当分ドラマのお呼びはなさそうだ。
それならばと考え出されたのが舞台だ。12年ぶりとなる主演舞台は、6月4日から東京・新国立劇場で上演される「ようこそ、ミナト先生」。相葉のために、ベテラン脚本家と実力派演出家がセッティングされた。大ヒットドラマ「恋はつづくよどこまでも」(TBS)でおなじみの金子ありさ氏と、相葉の舞台を4度も演出した宮田慶子氏。両氏は、相葉の2010年上演の主演舞台「君と見る千の夢」以来の顔合わせで、昨今はジャニーズの映画や舞台などを手掛けており、その手腕は折り紙付き。事務所の信頼も厚い。
相葉が演じるのは、山あいの町に非常勤教師として赴任した湊。人気者の湊は誰も知らない秘密を持っていた。町の高齢化や過疎化などの問題を絡めながら、湊と町の“再生”をテーマに描くオリジナルストーリーだ。
12年振りの舞台とあって、普通なら及び腰になりそうなものだが、ポジティブな相葉はやる気満々。「12年前にもお世話になった演出の宮田慶子さん、脚本の金子ありささんと再びご一緒できること、大変光栄に思っております。皆様に楽しんでもらえるよう、全身全霊をかけて向き合っていきます。楽しみに待っていただけたら嬉しいです」と抱負を語っている。
「心配されるのは、12年というあまりにも長すぎるブランク。前作では長台詞に相当苦しめられました。連日居残りで猛特訓を受け、どん底まで突き落とされてようやく這い上がり、どうにかこうにか様になったのです。本番では噛むことも多く、太鼓演奏を失敗したり、ベテランのアドリブにオタオタしたりと危なっかしいところもありました。舞台の勘は稽古するうちに戻ってくるでしょうが、もともと卓越した演技力があるわけではありません。いっぱいいっぱいになってしまわないか心配です」(ジャニーズウオッチャー)
嵐活動休止前のファンの大盛り上がりは消滅、特需はすでに終わっている。相葉や櫻井翔ら相次ぐメンバーの結婚でファン離れもささやかれている。相葉の単独出演となった「VS魂」(フジテレビ系)の視聴率は低空飛行を続け、「I LOVE みんなのどうぶつ園」(日本テレビ系)の数字も芳しくない。次の手となるこの舞台だが、幸いそれなりに身長があり手足は長く顔も小さく、何より姿勢がよくて舞台映えする。また、相葉は目の前にあることを一つ一つ一生懸命全力投球が身上。じっくり腰を据えて取り組めば、演技開眼も十分にありえる。
板の上で輝く相葉に期待したい。
(塩勢知央)