「ハマリ役」という言葉は誰でも知っている言葉だろう。11月29日放送の「ライオンの隠れ家」(TBS系)第8話は、柳楽優弥が演じる洸人の自分のことはさておき、弟の美路人(坂東龍汰)や「ライオン」こと愁人(佐藤大空)を尊重する底なしの優しさと、尾野真千子演じる愛生の自分が「こうだ」と思ったら、誰に何も言われても貫こうとする意志の強さが際立つ、素晴らしい回だった。
特に柳楽演じる洸人が、激しい口調で怒りを露わにするのでなく、静かに切々とライオンの辛さやしんどさを愛生に訴えるシーンは胸が熱くなった。愛生から言われたことを必死に守り、それまで全く知らなかった洸人と美路人との生活に飛び込むことを強いられた、ライオンの気持ちを代弁するように言葉を紡ぐ洸人を見ながら、「洸人は柳楽優弥じゃなければ成立しなかったな」と思った。
対する尾野演じる愛生の、18年前に別れた弟・洸人と美路人のことを信じ、自分の命より大切な息子の愁人(ライオン)を託してしまう、動物的な直観に似た判断力と実行力は、「信じる者は救われる」という聖書の言葉を思い出さずにはいられなかった。さらに「愛生はオノマチにしか演じられないな」と、1人で妙に納得してしまった。
これからまだ登場人物たちに、悲しみや苦しみが降りかかることがありそうだけれど、最終回にはみんなの笑顔が見たい。いや、見せてもらえると信じている。
(森山いま)