ヒトは、五感情報を受けとるパラボラアンテナを持っています。それが“顔”です。「ヒトの健康」は、きっちりと結びついた“顔と脳”がタッグを組んで生み出します。
■顔はスーパー・パラボラアンテナ
私たちは五感すべての感覚器官（目・耳・口・鼻・皮膚）が集中している顔を左右・上下・前後、あたかもパラボラアンテナのように振り回して、身の回りの情報をかき集めています。それら「顔が受け取った五感」が、単独ではなく「すべてが組み合わさって、一つの“意識”として認識されている」ということが近年わかってきました。ヒトは集めた五感情報を一括して“顔全体”で表現しているというのです。だから、楽しくて、心配で、暑くて、のどが渇いている場合は、“顔全体”が“その顔”（写真の顔）になります。
一方、顔で受け取った五感の「いやな感覚」は統合されて、独特の「いやな顔」を呼び起こします。統合型の“雨顔”です。その一方で、「いい感覚」は、統合された「いい顔」をつくります。統合型の“晴顔”ですね。
■統合型の“晴顔”が健康をつくる
五つの感覚が統合して、“顔全体”に反映するという現象を、あなたの実体験で確認してみましょう。「うるさくて、臭くて、暑い」場合を想像してみてください。“その時の顔”は、すべてを取り込んだ統合型の“雨顔”になります。逆に「おいしいものを食べながら、いい音楽を聴いて、いい絵を見て、いい香りのする、居心地のいい部屋にいる」場面を想像してみてください。その瞬間、顔全体が、統合型の“晴顔”になります。
顔は状況だけでなく、すべての感情にも対応します。「喜・怒・哀・楽」はもちろん「喜と怒」、「怒と哀」など、それぞれ別々の感情が、“晴顔”と“雨顔”をかき混ぜて組み合わさった顔で表現できます。顔は、心身のあらゆる状況につれて刻々と変化していき、後にも先にも同じものは二度と現れません。「今」という一瞬の“顔の積み重ね”で人生はできあがっていると言えます。
■統合表情の“顔”を“脳”が読み取り、体のコンディションに反映する
顔で受け取った情報は、すべてが統合された“統合表情”となって顔に現れ、脳に伝わります。その脳が、これまたスゴイ。ヒトの脳は…もう、「言葉で表現できないくらい超スゴイ」のです。異常とも言えるくらい発達し、巨大化した「大脳皮質」。この“スーパーコンピューター”が顔とタッグを組み、ヒト特有の「超能力」を発揮。健康を生み、幸運を呼び込み、夢を叶えるのです。
“顔と脳”をうまく使えば「ヒトは、これからも次々と新しい能力を開発できる」と思います。「このシリーズは、そのための手引書、トリセツなのだ」 とも言えます。
■健康は“晴顔”がつくる
あたかもゲームのコントローラーのように“顔で脳が操作できる”ことはこれまでも何度も確認してきた事実です。ヒトには、自分の“顔と脳”を、「顔領域（顔と脳を結ぶ広い領域）」できっちりと結び付けることで、人生に奇跡を起こす特別な能力があるのです。だから、「健康になろうと思ったら“晴顔”が大切」です。“雨顔”ではうまくいかないどころか（これまでも見てきたとおり）健康を害してしまいます。“晴顔”が、健康をつくり、結果として、いい人生を作り上げていくのです。
それでは、次回から「顔と健康」という視点で、目、耳、鼻、口について見ていきましょう。この4つは単独ではなく、他の情報とネットワークして“統合表情”を作り、“一つの顔”として、脳をコントロールします。顔はもちろん“晴顔”でいきましょう。
ということで、まず“目”から「見て」いきましょう。目を中心にして見た“晴顔の統合情報”が、心と体の健康をつくります。そのトリセツを…次回、お届けします。
●プロフィール
なかむら・かつひろ１９５１年山口県岩国市生まれ。早稲田大学卒業後にＮＨＫ入局。「サンデースポーツ」「歴史誕生」「報道」「オリンピック」等のキャスターを務め、１９９６年から「ワイド！スクランブル」（テレビ朝日系）ほか、テレビ東京などでワイドショーを担当。日本作家クラブ会員。著書に「生き方はスポーツマインド」（角川書店）、「山田久志 優しさの配球、強さの制球」（海拓舎）、「逆境をチャンスにする発想と技術」（プレジデント社）、「言葉力による逆発想のススメ」（大学研究双書）などがある。講演 「“顔”とアナウンサー」「アナウンサーのストップ・ウォッチ“歴史館”」「ウィンウィン“説得術”」
