阿部サダヲ役者フェス2025開催中!【あんぱん】【しあわせな結婚】だけじゃない【八月の声を運ぶ男】の重さ
「阿部サダヲ役者フェス2025」と言っていいほど、今年の阿部は役者としてのカロリー消費が大きい作品に続々と出演している。
放送中のNHK朝ドラ「あんぱん」では、モジャモジャヘアのカツラを装着して、風来坊の「ヤムおんちゃん」こと屋村草吉をドライだけれど熱い男としてサラリと演じ、来月に訪れる最終回までに回想シーン以外で登場することはなさそうだと予想され、残念がられている。
同じく放送中のドラマ「しあわせな結婚」(テレビ朝日系)では、ひと目ぼれして結婚した妻のネルラ(松たか子)とともに、元婚約者・布勢夕人(玉置玲央)殺害事件の真犯人を探しながら、理性的かつ具体的にネルラを守る人気弁護士・原田幸太郎を好演。妻に好意を持っている年下のイケメン刑事・黒川(杉野遥亮)に、嫉妬はするもののブレーキを踏んで大人の対応をする幸太郎を見ながら、阿部の演技力の素晴らしさを感じていたら、8月13日および20日に放送、再放送された単発の「戦後80周年ドラマ 八月の声を運ぶ男」(NHK)でさらにガツンとやられてしまった。観る人によって解釈の仕方がいくらでもある長崎原爆の被爆者・九野和平を、人の心にくさびを打ち込むように演じていたからだ。
1000人以上の被爆者を尋ね、その体験談を録音したことで知られる元長崎放送記者・伊藤明彦氏をモデルとした主人公・辻原保(本木雅弘)に、自身の体験談なのか、それとも数々の被爆者たちから聞いた体験談なのか、過酷で詳細な被爆体験を語る男・九野(阿部)は、実に鮮烈でヒリヒリした。シリアス一色のドラマで九野を演じる阿部の演技力は多彩で、多くの映画やドラマ、舞台の制作者たちが「阿部と作品を作りたい」と願う気持ちがよくわかった。
来春には阿部が主演した昨年放送の大ヒット連ドラ「不適切にもほどがある!」(TBS系)のスペシャルドラマが控えている。「阿部サダヲ役者フェス2025」のシメは「ふてほどSP」ということになりそうだ。
(森山いま)
