民放キー局の2017年4~9月期決算で、フジテレビが唯一の営業赤字局となったことがわかった。特にCMなどの放送収入が落ち込んでおり、在京キー局4位にとどまる視聴率の低迷が響いているようだ。うわさに違わぬ「一人負け」だったわけだが、バラエティ番組「めちゃ×2イケてるッ!」「とんねるずのみなさんのおかげでした」などの不採算番組を来年3月で終わらせるなど、大ナタを振るった。
6月に就任したばかりのフジ・メディア・ホールデイングス宮内正喜社長は「ドラマの視聴率回復を2018年の原動力にしたい」と語ったが、それだけでは難しいのではとメディア関係者は分析する。
「80~90年代があまりにイケイケだったことで、反動も多い局でした。ネットニュースが世論を動かす時代になると、大コケドラマなどがあれば真っ先に叩かれる局になってしまいました。一時の韓国びいき批判も局のイメージとしては痛かった。そして、事あるごとにコネ入社疑惑も話題になりました。とくに近年は藤井フミヤの息子や高橋真麻など、有名人のジュニアを入社させ、前面に押し出す傾向にあった。コネ入社は他局にもありますが、フジの場合はそれが目に見えており、不景気の時代になっても“勝ち組が優遇される局”といったバブルのイメージを引きずっていました。
宮内社長はドラマ視聴率の回復を課題にあげていますが、ドラマ視聴率は軒並み苦しい。月9で最近よかったのは『コード・ブルー』のみで、現在は『俳優墓場』とまで揶揄されています。今後はキャスティングも難しくなってくるでしょう。こうした過去の栄光をすべて拭い去って、白紙から再構築するぐらいの意気込みがないと、コストをかけずにアイデアで勝負するテレビ東京にも差を開けられそうですし、ドラマのヒットで崖っぷちから復活したTBSにも置いていかれるでしょうね」(テレビ誌編集者)
ただ、視聴者が完全にフジを見放したわけでもない。10月に放送された土曜プレミアム「衝撃スクープSP 30年目の真実~東京・埼玉連続幼女誘拐殺人犯・宮崎勤の肉声~」は内外から大好評だっただけに、フジテレビの復活への道はあるはずだ。
(小机かをる)