「平成」におけるテレビ番組を仕切った個性溢れる優秀な司会者・MCを紹介しながら、どのようなメソッドでお茶の間を盛り上げてきたのかの分析を続けよう。
“演者への思いやり”という観点では、元SMAPのリーダーで司会を務めることの多い中居正広もまた、柔和な回しで番組の潤滑油としての役割を果たす実力派である。自らの主義主張は極力控え、ゲストの話したいことややりたいことにフォーカスする姿勢からは、やはり国民的アイドルグループをまとめていた経験値が生かされているようにも感じられる。
だが、一方で司会者として半ば“独壇場”のような空気感を演出し、番組の盛り上げに大いに貢献している個性派も存在する。
1987年より続く長寿番組「朝まで生テレビ!」(テレビ朝日系)で司会を務めるジャーナリストの田原総一朗は自らも積極的に、いや時には“超口撃的”に持論を述べることで討論を白熱させ、パネリストの主張を真っ向から全否定することもしばしば。行き過ぎた発言などが問題視されるケースもあるが、地上波放送において最も“歯に衣着せぬ”発言を展開し、攻めた姿勢を決して崩さない名司会者でもある。後継者不在とも嘆かれる田原の突出したキャラクターと、自らもきちんと取材をするジャーナリストとしての姿勢は「朝生」のDNAそのものであり、85歳を迎えた今もなお稼働を続けるタフさもまた賞賛を浴びる所以だ。
もちろん明石家さんまも司会者だからこそ享受できる“ワンマンショー”を辞めないMCの1人である。
「CMを挟む寸前は自らのボケで終結させなければ気が済まず、司会という立場ながら誰よりも貪欲に笑いを奪いにいく姿勢はおよそ40年間変わっていません。番組収録中のスタジオを“戦場”と名付け、ゲストとして登場するお笑い以外のタレントにも容赦なく“笑い”を要求していく為、『踊る!さんま御殿!!』(日本テレビ系)からのオファーを受けた芸能人は軒並み眠れない日々を過ごすことになるそうです」(テレビ誌ライター)
そんなさんまの司会者としての姿勢について、かつてのラジオ番組で「嫌い」だと言い放ったのが同じ吉本興業に属するダウンタウンの松本人志だった…。
(木村慎吾)