お笑いコンビ・ロザンの菅広文と宇治原史規が9月28日に公式YouTubeチャンネル「ロザンの楽屋」を更新。芸人が薬物騒動を起こす確率が低い理由について考察した。
2人が“普段の楽屋そのままのテンション”で時事ネタや社会的問題をマイペースに評論していく同チャンネル。この日は、法律違反の薬物がそもそも「皆さんはどこで手に入るか知ってますか?」と題した動画をアップし、俳優や歌手に比べて芸人の薬物逮捕が少ない理由について話し合っている。
菅はまず、巷で提唱される「お笑い芸人は舞台の上で観客の笑い声を聞くことである種のドーパミンが出る為、薬物に走らなくても快感を得られる」との説を引き合いに出し、「何言うてんの、って思いません?」と疑問視。その説を立証するには、“ウケる快感”と“薬物の快感”を両方とも味わい、比較しなければならないと語った。
また、宇治原は薬物の売買が多いとされるクラブなどに芸人が出入りする確率が低く、そうした場所で遊ぶことを“カッコイイ”とする文化が芸人にはないと主張。クラブの文化自体を否定するつもりはないとも説明し、もしも居酒屋や立ち飲みバーなどが取引場所として使われることが多ければ、芸人の世界にも蔓延していた可能性があるとしている。
続けて、宇治原は芸人が法律違反の薬物に手を出さない理由として興味深い持論を述べた。それは、「芸人は他の芸人の失敗を見ることができる」というもの。「アーティストって同業者のボツとなった曲を見られない」ものの、「芸人は同業他者の“大スベり”を見られる」とし、「芸人は他の芸能人に比べ、仕事で精神的に追い込まれる可能性が低い」との説を述べた。
宇治原自身も「同業他者の失敗(大スベり)を見ることで、安心することがある」と認め、一方のアーティストは同業他者が世に放つ完成品の曲しか見られない為、自らの劣等感や精神的な焦りなどを解消することができないのではないかと話している。
「菅が最初に引き合いに出した、芸人がクスリに手を出す必要がない理由に関するフレーズは、かつての大御所芸人・上岡龍太郎氏が深夜番組『鶴瓶上岡パペポTV』(読売テレビ)の中で発したもの。菅は、上岡の名前こそ出さなかったものの、当時のバラエティ番組で上岡が言及した内容と、現在語り継がれている内容とではニュアンスが若干変わっていると指摘しています。一方で、宇治原が唱えた、“ライバルの失敗する所を真横で見ることができる”ことで、芸人は仕事のストレスが解消される可能性が他の俳優や歌手に比べて高いとの新説は非常に新鮮かつ人間らしい意見だと言えます。宇治原自身、長年エースとしてレギュラー出演する『Qさま!』(テレビ朝日)でも一時期、その存在感が薄まり、他の芸人に“Qさまエース”の座を奪われかけたこともありました。しかし、ハイレベルなクイズにきちんと正答できる芸人は少なく、最終的にコツコツと正答率を高める安定感抜群な宇治原の価値が見直され、メイプル超合金・カズレーザーとのダブルエースという形に落ち着いています。常に成功と失敗の結果が“丸見え”な世界の中で生き、そのサバイバルに打ち勝ってきた宇治原らしい見解でしたね」(テレビ誌ライター)
“他人の不幸は蜜の味”。芸人が危ない方向に走らずに済んでいるのは、そうした感覚に救われている部分も大きいのかもしれない。
(木村慎吾)