大地真央や黒木瞳の鉄仮面のような“ピーンと感”。不自然だと感じる反面“60代であの顔って憧れる”と思っている女性は多い。大きな手術をせずに、そんな「銀河鉄道999」のメーテルばりな若い肌を手に入れるにはどうしたらよいの?という前回のテーマを検証する第2回目。前回に続き、医学博士で日本形成外科学会専門医の「くさのたろうクリニック」(東京・品川区)の草野太郎院長に美容オタクライター・M子と、美容クリニック業界プロモーターのX男が話を聞いた。
M子:さっそくですが、顔の引き上げにはリフトアップ手術が最強なのは承知ですが、やっぱり切るのはまだ抵抗があります。手軽にできるものをやりたい!というのは、一番美容マシンを繰り返すのがいいんですよね?超音波やラジオ波の美容マシンはもはや当たり前の美容法ですが、同じマシン系でもクリニックによって値段が違うことも。どうしても安いところを選んでしまいますが、料金によって大きく仕上がりが変わるのか、高い方がいいのか?などが知りたいです。
草野:ボクとしては、同じマシン系だったら仕上がりの差は料金ではないと考えています。つまり、高いほうがよくて、安いとあまりよくないといったことではなく、いわゆる立地がよい、マシンのブランド力がある、などといった付加価値で設定が高くなるのは通例です。これは銀座で売っている靴と田舎で売っている靴の差のような違いといっても過言ではありません。さらに看護師さんが施術をしてくれる場合と、医師がみずから行う場合でも異なります。それも大差があるとも言えません。肝心なのは、どれだけ丁寧に、ポイントをわかって施術を行うかが大切なんです。
X男:技術者だから経験値がものを言いますよね。今や素人でも美容クリニックを立ち上げることができる時代なので、経験値が高い人が行ってくれるところなのか。キチンと調べて行かないと効果に満足できないでしょうね。
草野:6、7年ほど前かな。顔のリフトアップのマシンで、ハイフ(HIFU)というのが台頭し、今や主流です。超音波を使って顔を引き締める美容マシンですが、昔からあった美容マシンの名前を替えただけ。ただそのネーミングで流行ったフシはあります。でもこれ、実はエステでは医療と同じパワーや熱量で行うことはできません。
M子:エステでハイフをやってトラブルが多い、というニュースはよく見ます。
草野:そうなんです。エステの方が気軽に受けられると考えがちですが、高パワーのハイフを行うのは法律違反なんです。でも、ボク自身なんかは顔に脂肪がないので、高パワーだと顔がコケてします。だから、気になるところに少しだけやるようにしています。そうやってその人に合ったメニューを組まないと、本当の意味でのアンチエイジングにはなりません。それをわかっているクリニックに行かないと。
X男:美容クリニックでは、マレに起こる施術の際の肌トラブルに対して、医師の判断で、薬の処方など緊急対応が行えますが、エステは、薬の処方はできません。エステで患者さんが施術による大きなヤケドなどに対して警察に訴えたら“アウト”です。だからパワーを落として効果が有るか無いかわからないくらいの事しかできないんです。
M子:なるほど。わかっているクリニックで、その人に合ったアンチエイジング法を、医療の観点から、安全にやってもらう。これがキーですね。
草野:そうなんです。引き締めだけじゃなく、足すことも大事。足すには注射でヒアルロン酸注入というのがありますが、足すのが嫌だからマシン、と安直には考えず、とりあえず信頼のおけるクリニックに行くのが手ですね。
M子:やればやるほど、大地真央になれるというわけではなさそうですね。いつ、どんなタイミングで、どのくらい、誰にやってもらうか。5W1H的な美容メニューを信頼がおけるクリニックに組んでもらうのが一番よさそう。
X男:20代でものすごくたるんでいたらやるべきだし、30代でも頬はシュッとしていたらやりすぎはよくないんじゃないかな。そのあたりどう思いますか、草野先生?
草野:そうですね、その方のお顔の状況を冷静に判断して対応するのが一番ですね。あと、美容クリニックを点々とする方もいらっしゃいますが、ここだ、と感じたところにずっと通うのがベストだと思いますよ。いいクリニックを見つけることが、キレイを保てる秘訣ですね。
【連載コンビ・プロフィール】
M子:美容と芸能のライター歴25年。誰もチャレンジしない時代に、女性誌で初めてプチ整形を体験取材したといっても過言ではない。そんな美容整形への風当たりが強い時代から美容術の歴史を追っている。
X男:美容整形業界長く在籍し、コーディネーターとしてTV・出版業界、芸能事務所、財界にも太いパイプを持つ。