このやり取りで、夫婦の力関係は決まったのかもしれない。
6月27日放送のNHK連続テレビ小説「らんまん」第62回では、主人公の万太郎(神木隆之介)が結婚相手である寿恵子(浜辺美波)に土下座するシーンがあった。この場面に二人の力関係が象徴されていたという。
土佐・佐川の造り酒屋で何不自由なく育った万太郎は、わがままぶりを自覚しつつも自分では直せない様子。桜の病気を解明するため顕微鏡での観察に没頭し、食事を勧める寿恵子に「今は邪魔じゃき!」との暴言を吐いていた。
そんな万太郎の振る舞いについて寿恵子は、万太郎の姉・綾(佐久間由衣)と相棒の竹雄(志尊淳)に相談。母親との二人暮らしだったことからケンカしたときでも食事だけは母親と一緒に摂っていた寿恵子は「幸せな家にしたいのに」としみじみ。万太郎に邪魔扱いされたと明かすと、綾と竹雄は呆れ果てていた。
「そのやり取りを見ていた万太郎は寿恵子に土下座し、『すまんき!』と謝罪。寿恵子から『草花の道、一緒にやっていくんでしょ!?』と問い詰められると、先生に怒られた子供のように『はい』と答えていました。そんな素直さはわがままぶりと背中合わせの、万太郎らしい性格の表れではないでしょうか」(女性誌ライター)
寿恵子の怒りに触れ、自らの愚かな振る舞いを反省した万太郎。その姿に万太郎・寿恵子夫婦の力関係が垣間見られたのではないだろうか。
その一方でこの場面には、竹雄と寿恵子の関係性もまた、表れていたというのである。
番頭の息子として幼いころから、若旦那の万太郎を支え続けてきた竹雄。上京後は対等な「相棒」となり、それまでの「若様」呼びから「万太郎」と呼び捨てに変わっていたが、それでも生活力のない万太郎を竹雄が支えるという関係性に変わりはなかった。
しかし竹雄は、峰屋の女当主である綾と結婚しそうな様子。地元の佐川に戻り、万太郎は寿恵子と二人で東京に戻るのだろう。そもそも寿恵子自身、この場面で「二人で一緒にやっていくんでしょ?」と呼びかけており、今後は二人だけで暮らしていくことは明らかだ。
「この言葉は、竹雄が担っていた役割を、寿恵子が引き継ぐと宣言したも同然。万太郎の生活面を支えるのみならず、万太郎のわがままぶりを諫める役割をも寿恵子がこなしていくことになるのでしょう。寿恵子はまだ17歳の若さですが、母親に厳しく育てられたこともあり肝は据わっている様子。どうやら二人の夫婦関係はその出だしから、上下関係が決まっていたようです」(前出・女性誌ライター)
周りからさんざん「お美しい」と容姿を褒められつつも、いざとなると肝の太さを示して見せた寿恵子。この妻があってこそ万太郎は、今後の研究生活に没頭できるに違いないのだろう。