日本時間の4月1日、大谷翔平(29)と山本由伸(25)が所属するドジャースと、カージナルスの公式試合が行われ、始球式を俳優の真田広之(63)が行った。
捕手役を前日に登板した山本が務めると、真田が投げたボールは大きく弧を描き、ノーバウンドでストライクゾーンに吸い込まれた。視聴者からはネット上で、「60代とは思えない」「元JACだけあって球が速い」と称賛の声が飛んだ。
「実際、黒いパターンのドジャースのユニフォームに身を包んだ真田は、大柄な野球選手と並ぶとかなり小さく見えましたが、それでも髪をオールバックにし、年齢以上に若く、引き締まって見えました。大谷らスター選手に負けないオーラを放っていましたね」(芸能関係者)
そんな真田は6歳での子役デビューから、13歳で俳優の故・千葉真一が創設した前述のJAC(ジャパン・アクション・クラブ)に入団。入団中から独立後にかけて、映画・ドラマで主役級の俳優として活躍していた。しかし、順風満帆だったはず真田の芸能生活には、その後、いくつかの「地獄」が訪れたのだ。1つ目は、
「恩師・千葉との確執です。千葉が名前から『真』の文字を取って『真田』と芸名を名付けたほど、両者は相思相愛の師弟でした。しかし独立後は、真田という芸名を返上するよう千葉が求め、真田がそれを拒否。関係は断絶しました」(前出・芸能関係者)
結局、千葉の逝去後まで絶縁は続いたままで、そのことを真田は悔いていたという。そしてもう1つは、人気絶頂の時期に発覚した、女優・葉月里緒奈(48)との不倫騒動だ。芸能レポーターが振り返る。
「魔性の女と言われた葉月は、95年に真田と映画『写楽』で共演。不倫騒動で真田は、当時の妻の手塚理美(62)と離婚しています。結果として、誠実な人気俳優としてのイメージが完全崩壊し、海外進出へ向かうのは、半ば日本から逃げるかのようにも見えましたね」
第3の地獄は、渡米後に降りかかった、40代からの再下積みだ。前出の芸能関係者が言う。
「日本での真田は、ドラマ『高校教師』(TBS系)などヒットドラマも多数あり、当然、オファーを待ち、作品を選べる立場の俳優でした。ですがハリウッドではあくまで一介の俳優として、オーディションで役を勝ち取ることが多くなります。それは03年の映画『ラストサムライ』で主要な役を演じた後も変わりませんでした」
だが、異国でも変わらぬ仕事への誠実な姿勢が、再び真田の価値を周囲に認めさせ、高めていく。
「『ラストサムライ』もそうですが、英語が流暢な真田は、アメリカ人にはピンと来ない日本人観の修正や時代考証など、映画のディテールを監督やスタッフに伝える役割を得るようになります。いわば、日本が舞台の映画のリアリティを担保する『日本コーディネーター』ですね。また、昔取った杵柄、ということで、アクションやスタントシーン、殺陣などの講師役にも。演技だけでなく、こうした裏方の仕事にも存在感を見出され、ハリウッドでも特にユニークな地位を確立していくことになります」(前出・芸能関係者)
その集大成と言えるのが、日本でも2月に放送が開始されたドラマ「SHOGUN 将軍」(Disney+)だ。真田は主演だけでなく、同作のプロデューサーも務めており、日米で「正しい日本を描いた重厚な傑作」として視聴者、メディアから絶賛されている。
みずからの努力で地獄を「天国」に変えた真田の姿を見て、恩師の千葉も草葉の陰で笑っているだろうか。