ダウンタウン(浜田雅功、松本人志)がMCを務めた「ダウンタウンDX」(日本テレビ系)が、6月26日に最終回を迎えた。1993年10月期にスタートして31年8カ月も続いた長寿トークバラエティだったが、最終回はダウンタウンが不在。出演経験が多かったタレントが4台の車に分かれて乗って、車中で番組にまつわる思い出トークをした。
「ダウンタウンDX」は、松本が女性スキャンダルを理由に昨年1月からすべての芸能活動を休止しているため、同年2月オンエアから浜田が1人でMCを務めていた。ところが浜田も今年3月から体調不良を理由に休養。4月からは、ダウンタウンの後輩芸人が代打MCで回していたが、ついに“万事休す”となった。
コンプライアンス(法令遵守)と制作費の削減が強化されている民放の番組づくりは、試練が久しく続いている。そんな中、ダウンタウンの日テレ系長寿番組「ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!」も存続の危機に立たされているという。
通称「ガキ使」も、現在は松本が不在。浜田、ココリコ、月亭方正のレギュラーメンバーに様々な芸人やタレントが加わり、名物企画に挑戦しているが、視聴率は2%台で低空飛行。民放見逃し配信のTVerでも、上位にランキングしていない。
それでもこれまでは、大みそかに放映していた派生特番「笑ってはいけない」シリーズの高視聴率、DVDやBlu-rayなどの映像、夏の日テレイベントとのコラボ、関連グッズほかで採算ベースに乗せていた。
同特番は、2006年から15回も続いた年越し番組。ゲストが笑いの刺客となって、メンバー5人を笑わせにかかるコンセプトで、11年連続で大みそかの民放視聴率でトップを獲得した。映像配信サービスのHuluのバラエティランキングでも、何度も首位を獲った。
ところが、新型コロナウィルスの発生によって人との接見が禁じられた20年末は規模を大幅に縮小。翌21年からは、お笑い特番に切り替わった。復活を熱望する声は根強いが、1億円超えの莫大な制作費に松本の活動休止、出演者の高齢化もあって、浮上の目が絶たれた。実は、「ガキ使」ピンチの理由はそれだけではない。キー局のテレビ関係者が言う。
「番組は放送36年突破を記念して、今年8月にDVDとBlu-rayをリリースします。過去のお宝映像はいくらでもあるでしょうから、二次利用による収益アップを見込めれば、番組存続は可能でしょう。今、それ以上に深刻なのは、元番組プロデューサーだった中村喜伸氏の金銭トラブルです。すでに約30年間も務めたプロデューサーの職を辞していますが、1億円ほどの融資を受けた相手と連絡がとれなくなるなどのトラブルが24年に一部で報じられたんです。そして、今年6月中旬、自身が代表だった映像制作会社が、東京地裁から破産手続き開始決定を受けたんです」
もっとも今は「ガキ使」と無関係な中村氏だが、番組は中年の男性スタッフが顔と名前、役職までさらして、出演者と一緒に笑いを作ってきた歴史が長い。演出家の「世界のヘイポー」こと斉藤敏豪氏、プロデューサーの「ガースー」こと菅賢治氏とともに、「中村P」も出演者としてのキャラや位置づけ、役回りがあった。しかし、それも今となっては負の遺産となった。
ダウンタウンがこのまま、打ち切りドミノに巻き込まれなければいいが…。
(北村ともこ)