【さよならノワール】生物学によれば、失敗しても人間だけは死なずに泣き暮らすことができるという「尊い太さ」
8月18日放送の小池栄子主演ドラマ「さよならノワール」(フジテレビ系)第7話に、脚本家の井上由美子氏らしさを感じて胸の奥が温かくなった。
この日の放送では、女性と交際したことのない高校教師・岩田倫太郎(三河悠冴)が美人局の被害に遭い、金を奪われるだけでなく襲われてしまう。誠実に生きてきた岩田は精神的なショックから言葉を発しなくなるも、臨床心理士・白石絵梨子(北香那)の真摯でまっすぐな気持ちが岩田に伝わり、話すようになり事件は解決。その中で、絵梨子と岩田が交わしたセリフがとても素晴らしかった。
絵梨子が生物の先生である岩田に対し「生物学によれば失敗できるのは人間だけだそうですね。私、調べてみたんです」と話しかけると、岩田は「それはちょっとだけ違います」と前置きし、「人間以外の生物は、失敗=死に直結するんです。狩りや逃走に失敗したら終わり。人間だけが落ち込んだり、泣き暮らすことができる。そしてまた、生き続けることも…」と説明した。
晴天ではないが、雲の合い間から明るい光が見えた
それを聞いていた絵梨子は小刻みに何度もうなずくと、「私は岩田さんが自分の言葉でそれを教えてくれて、とっても嬉しいです」と笑顔に。すると岩田も「ありがとうございます」と初めて笑顔を見せるのだ。岩田はまだ立ち直れずに落ち込んで、泣き暮らすかもしれない。しかしやがてそこから立ち上がる日が来ることだろう。青天ではないが、雲の合間から明るい光が見えたこの終盤シーンには、脚本家の井上由美子氏らしさも強く感じられた。
人間は立ち直り生き続けられる、尊い太さを持っている。そのことを忘れてはいけないと、岩田倫太郎こと「生物の岩田先生」に教えられた気分になった。
(森山いま)
