「あなたを奪ったその日から」（フジテレビ系）が佳境を迎えている。6月30日放送の第11話が最終回なので、残すところあと2話。
23日放送の第10話予告では、美海（一色香澄）は自分が紘海（北川景子）に誘拐されたことを知り、2人は長野県にある鉄オタなら1度は行ってみたい「姥捨」へと旅に出ようとする。はたして紘海と美海が「姥捨」に行けたのかどうかは予告からではわからない。
鉄オタの美海が「姥捨」に行きたがっている第1理由は、日本3大車窓の景色の素晴らしさを見たいから。しかし、実は日本で現存する約140カ所の急こう配を登るため、もしくは下るためにジグザグ走行（折り返し走行）するための線路の軌道＝スイッチバックがある駅でもあるのだ。
スイッチバックとは、旭が専務を務める新業態スーパーの名前でもあるし、ジグザクに折り返し走行するための線路の軌道のことだと知ると、紘海と旭の“ジグザグな関係性”を想起せずにはいられない。
加害者だった旭が被害者になり、被害者だった紘海が加害者になる。
憎んでいた旭に紘海は好意的な印象を持つようになり、好意的な印象を持っていた紘海に旭は憎しみを抱くようになる。
おそらく第10話での旭は、自分の娘・萌子（倉田瑛茉）を奪ったのが紘海だと知って、憎しみを抱くことだろう。
しかし思い出していただきたい。ラブストーリーのセオリーは「最終回で結ばれる2人は最終回前話に危機が訪れいったん離れる」ことを。
スイッチバックのように「憎悪と愛情」を行ったり来たりしながら関係を築いてきた紘海と旭は、23日放送の第10話で離れ、30日放送の最終回でくっつく、つまり再婚する結末を迎えるように思えてならない。
5月19日放送の第5話で旭が紘海に言った「人の心は万華鏡」というポエムのように印象的なフレーズもまた、「次の瞬間にはまったく別の模様（景色）になる」という、スイッチバックのような意味が含まれているように思う。
現在は旭に憎まれている紘海だが、「人の心は万華鏡」なので、最終回までには「スイッチバック」で「憎悪が愛情に」変化するのではないだろうか。
（森山いま）
