地元ノリのわちゃわちゃな雰囲気で視聴者を楽しませているコムドットなど、人気YouTuberに共通するのは明るいキャラクター、いわゆる「陽キャ」だ。
しかし一方で、「妻子・家なし46才派遣男」として、結婚できない独身40代の日常を投稿した「やっちゃんねる」や、家の中に、それとわからないように密かにカメラを仕掛け、元夫から受けたDVの様子を動画にした「柴犬とバツイチ女32歳」など、不幸をウリにしたYouTube動画もバズっている。また、数々のYouTuberの動画にゲストとして招かれているホストにハマるホームレスパパ活女子・まなみは、出演した動画はほぼ数十万回の再生回数を叩き出す人気ぶりだ。
なぜ、このような「不幸系動画」が人気を集めているのか。YouTubeに詳しいライターに話を聞いた。
「コロナで収入が下がったり仕事がなくなるなど、精神的にも不安定な人たちが増えていた頃、家賃が払えなくなって田舎に帰ったグラドルや、収入がゼロになった夜の店のホステスなどが注目されました。人の不幸は蜜の味とも言いますが、自分のほうがマシだと思える人間を探して、あえてネガティブな内容の動画を見に行く人たちが増えたように思います。しかし、このような動画が人気になった結果、ホームレスの女性をおちょくるなどした配信者が増えるなどし、動画を撮影した10代の少女が書類送検されるなど社会問題となっていますから、不幸なコンテンツが拡散されるのはあまり良くない傾向なのではないでしょうか」
仕事が終わり、安らぎの時間に見るはずのYouTube。いつから人々は、ネガティブな動画を見て心が満たされるようになってしまったのだろうか。
(佐藤ちひろ)